久し振りに東京へ出掛けてみた。

コロナの七波が下火になりつつあるけれど、

年末年始が過ぎたら、また次の八波が襲ってくるらしい。

ならば、東京へ行くなら「今でしょっ」と、新幹線に乗ってしまったのだ。

目指すは、練馬区、豊島園。

そこには、父と二人で二十年も暮らした懐かしい実家がある。

今は息子の家族が住んで孫娘たちが3人育っているが、

高齢者のコミュニティ暮らしの私は、コロナ禍の間は、なるべく実家滞在をせず自粛していたのだ。

仕事でやむなく東京へ行ってもホテルにひとりで宿泊していたのだった。

でも、自粛緩和になっているこの隙に、とりあえず実家に戻って必要なものを宅急便で那須に送ったり、しようと。

それから「花げし舎」と名付け、一緒に仕事をしてきた取材チームの仲間たちと会ったりしようと。

さすがに「みんなでじかに顔を合わせた~い」という思いが沸点に達してしまっていたので、

「豊島園」駅で待ち合わせて、飲もう、ということになっていた。

ところが、家のあるいつもの駅に降り立って、私はびっくりしてしまった。

この街が急速に大変貌しようとしている感じが濃厚に漂っていたのだ。

思えば、駅前の遊園地が閉鎖になり、ハリーポッターのテーマパークになるということは、

随分前から噂で知ってはいたけれど、

それが、なんと来年の前半にオープン予定だとは、思ってもみなかった。

しかも、自分がいつも行き来していた素朴な小さな駅舎が、大変貌するらしく、

目下、大急ぎで工事中だったのだ。

那須でボーっと暮らしていた私は、それを目の当たりにして、今さらながら、ええっ、噂は本当だったんだ、と。

急ぎネットで調べてみたら、そのハリーポッターのテーマパークは、世界で二番目の施設のオープンなのだそう。

 

 

 

 

 

世界で二番目! なんか随分と大きな話じゃないのよ、と、目が点になった。

でも、でも、私が大好きだったあの回転木馬、

100年以上も前の機械遺産だという「カルーセルエルドラド」はどうなってしまうのか……。

そう、「豊島園」に引っ越してきた30年前のあの日、

私は即刻、ご近所になった豊島園遊園地へ、あこがれの回転木馬を見に出掛けた。

でも、開園日だというのに、平日のせいなのかどうなのか、遊園地には人はほとんどいなかった。

私は、見捨てられたような回転木馬を前に呆然とし、一人寂しくいつまでも眺めていた。

当時、遊園地は、倒産寸前だ、と噂されていた……。

ほんとうにね、時代がどう動いていくのか、なにが起きるのか、まるで分からない。

私は、そんなことをしみじみと実感しつつ、とりあえず行きつけだった美容院に行った。

伸び放題で収拾がつかなくなり、「まるでホームレスのおばあさん状態じゃないの」と、

那須で言われていた髪を切って、ぐっとモダンにしてみた。

懐かしの街の変貌にあやかって、ささやかながら、

私だって、この際「変貌しなきゃ!」との気分になってしまったのだった。