原っぱでの人形劇の公演がついに終わった。
この指止まれ! の呼びかけに集まったシニア人形劇チームの面々が13人、
人形美術の制作にかかわった人たちを加えると、
わがサ高住の入居者仲間が20名以上……。
その他にも、原っぱに開店した売店に手作り作品を出品してくれた人たち、
原っぱのコーヒースタンドのために、美味しいクッキーを焼いてくれた人、
原っぱにまで、わざわざ観に来てくれて、
「ブラボー!」と言って、拍手してくれた人たちなど、など。
この公演は、入居仲間総出の忘れ難いイベントになった、と思う。
私としては、70代、80代の底力を余すことなく発揮したゾ、という気分だった。
が、実はこの公演の前日から空は雨模様だった。
テレビの天気予報でも栃木県北部は、雨、雨、雨……だった。
だめだ、こりゃ、と、私はさっさとあきらめの心境でいた。
ところが、である。
「パソコンで那須町の豊原で検索したら、このあたりは、午後には晴れるって、これ、間違いないから」
と、確信をもって言ってくれた人がいた。
そうだといいけどなあ、と私は半信半疑。
が、しかし、公演間際にほんとうに晴れた!
翌日も、天気予報は雨だったけれど、またもや公演時間が近づくと、晴れた!
おかげで、私は奇跡の「晴れ女」と言われた。
そして、公演時間には、ちゃんと人も集まってきたのだ。
初日に、なんと50人以上。
東京からわざわざやってきた知人までいたのには、びっくりした。
宣伝もしないのに、クチコミで公演を知り、那須で知り合った友人たちもやって来てくれた。
そして、褒められた。
原っぱにつくった大きな原っぱ舞台で人形たちが動く様子が、とても素敵だったよ、とか。
舞台の背景を本物の木々や空を借景にした演出が斬新だったよ、とか。
なんだか、すごく嬉しかった。
最近は、誰かに褒められるなんてことは、なかなかないけれど、
やっぱり「褒められる」って、いくつになっても、うれしいもんなんだなあ、と再確認した。
ともかく、人形劇など見たこともなく、やったこともなく、
なにかと、頑固で、自分勝手で、意固地で……などと言われがちな高齢者が、
協力し合い、練習を重ね、原っぱで、天真爛漫に人形劇に興じている様は、
なかなか画期的な光景だったのだ、と思う。
私も、白髪のかつらをかぶり、膝の痛さも忘れ、一応、跳んだり跳ねたり。
周りから、「似合っている、似合っている」と言われニコニコしていたが、
よくよく考えれば、白髪のかつらが似合っていた、と言われてもねえ。
ともあれ、
ヘビとか、カマドウマとか、ジョロウグモとか、スズメバチとか、カメムシと
か、アオムシとかの、なにかとキラワレモノになっている虫たちが、
まるでわが友のように思えてきた自分が、不思議である。
生まれ変わったら、私は原っぱのアオムシになるのかも、なんて心境になった。