二度目の自粛期間が明けたら、お天気も回復してきて、

ここのところ上機嫌で暮らしている。

実は、首都圏にお出掛けして宿泊などしてくる度に、一週間ほど部屋に閉じこもって過ごす。

それが、ここのルールだ。

そう、私の住んでいるのはサ高住。

正式にはサービス付き高齢者住宅と呼ばれている。

この戸建てサ高住という形は、コロナ対策に実に適している。

食事を予約している人には、スタッフが食事を運んできてくれるし。

買い物も、頼めば買ってきてくれるし。

部屋にはキッチン、トイレ、浴室があって、自宅での自主療養にもうってつけだ。

だから、感染しても安心ね、と思いつつ、まだコロナではない私としては、

せめてそれに打ち勝つ体力を維持しとかなければ! と部屋の中で体力増強に励むことにした。

運動が苦手で大嫌いだったのに、そんなことをする自分が自分で信じられない。

けれど、自立した高齢者として生き抜きたい私は、そのためには運動なるものも日常的にやらねばならない、

とまっとうなことを考えるようになっている。

「原っぱ」で草刈りなどを始めて自分の体力のなさに愕然とし、

精神力だけでは自立した高齢者にはなれないと悟ったのだった。

にもかかわらず、である。

朝のラジオ体操に参加するも、続かず。毎朝の散歩も続かず。

なにかを続けるって、ワタシには無理だ、とあきらめかけた時、「パドル体操」なるものに出合ったのだった。

たまたま、「原っぱ」に「人形劇をやっている久田さんですか?」と、やってきた女性が、

隣の西郷村の住人で、この「パドル体操」の先生だったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女が、この体操をわがサ高住で教え始め、いきがかり上、私も生徒になったところが、

いつのまにかはまったというか、巻き込まれちゃったというか。

なにしろこの彼女がすごい。

月2000円の月謝で、毎週、毎週1時間半もビシバシとやる。

最初は、辛すぎ、と音を上げそうになったけれど、

いつの間にか週1、体を動かさないとものたりなくなって、楽しみにするようになってきた。

この体操は、船を漕ぐ櫂の形をした棒を手に、歌謡曲に合わせて行うダンスのようなもの。

氷川きよしの「ズンドコ節」とか、和田アキ子の「あの鐘を鳴らすのはあなた」とか、

北の国からのテーマ曲とかに合わせて、体を動かすのだ。

「はい、ウエスト絞ります」とか「肩甲骨をやわらかくするよ」とか、

「腹筋鍛えてます」とか。ついでに、顔のリンパマッサージを自力でやる方法とか、いろいろと教えてくれるのだ。

振付も次々と覚えなければ、体操ができないので、自然と脳トレにもなるとか。

それが、すでに半年以上も続いている。

ほとんど、それは私にとって奇跡のような出来事だった。

そんなわけで、自粛中も部屋で自主練習をしてみたわけだけれど、とうに履け

なくなっていたはずのジーパンを捨てようとして、ふと、試みにはいてみたら

はけた! のだった。

体重計がないのでわからないが、確実に体も引き締まり始めているのだった。

心なしか顔のたるみも目立たたなくなったような……

おそらく、自粛後のこの久々の上機嫌の一番の理由は、このせいなのだと思う。