この頃、思う。

妥当な分別というか、思慮深さというか、

そういう自分を制御する装置が壊れちゃっているような。

それなりの歳なんだから、ほどほどにしなくちゃね、

突っ走ったら息切れするばかりなんだからね、

と、自分で自分に繰り返し言い聞かせてはいるのだけれど、

ふとなにかが頭に浮かぶと、突進している。

昨春に立ち上げた「原っぱ」プロジェクトは、まずまず順調に進み、

ガーデンハウスがふたつできあがったけれど。

周りからは「お散歩で通る度に、なにかができていくのって楽しいわよ~」

なんて言ってもらっているけれど。

そう、これで十分だと、私は思うべきだと思う。

ところが、できあがったハウスを眺めていたら

ドアのところに星の飾りをつけたいなあ、とつい思ってしまった。

そのとたん、ネットで探しまくって、木をスライスして作った星形を見つけ、

それを過剰に購入してしまい、色を塗った。

いいね、可愛いね、と眺めていたら、

星バッジを作ろうと思いついてしまった。

服にとめるピンをさらに購入し、夜な夜なバッジ作りに励んだら、

そうだ、こういうのを内職にしよう、

ほかにもみんなの手作りしたものを売る売店を「原っぱ」に作ろう、

などと思いついてしまった。

イメージが目に浮かんだ。

ガレージ型で、シャッターの代わりに前面に雨戸のようなパネルを5つ作って

はめて、トールペイント班の4人で手分けして大きな家の絵を描こうと。

売店があるならコーヒーも、と誰かが言うので、

さらに移動式の素敵なカフェも作ってもらうことに……。

みんなの滞在時間が増えれば、トイレもいるよ、ということに。

ならば、「原っぱ」なのだから、エコトイレにしよう、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも誰が作るの? いつできるの? お金はどうするの? 

と次々、課題というか難題が出てくるのだけれど、もう制御不能状況に。

思えば、私という人は、

家出しようと思いついたとたんに書き置きを書いてしまうとか、

サーカスで暮らそうかなあ、と思ったら息子の保育園に行って園長先生に

「やめます」なんて言ってしまうとか。

そんな自分に手を焼き、これ以上自分の人生を自分で混乱させたくないと、

なにかを思いつかないように自制して生きてきた。

けれど、やはり、その自制が年齢と共にきかなくなっているのだと思う。

ならば、私がここにい続けてはまずいのかも、と言ったら、周りが声を上げた。

ここまでやっちゃって、いまさら「原っぱ」をどうするのよ、と。

ここにいるのは「もう年なんだから、なんでも、やりたいことを好き勝手に

やればいいのよ」などと言う人ばかりなのだった。