収穫の秋を迎え、「原っぱ」で芋煮会をやった。
というのは、隣の畑で野菜作りをしている隣人から、
「そろそろだよ。里芋掘り、やってみたいだろう」なんて言われたのだ。
いつも草刈り機の組み立てとか荷物運びとか手伝ってもらっている私としては、
「芋掘りはやってみたくないっ!」とは言えない。
なにしろ、私は、彼が運営している「自分で収穫し、
適当な料金を缶に入れておく」というスタイルの
「好き勝手農園」の広報係でもある。
一方、私が立ち上げた「原っぱ」プロジェクトの参加者は二十数名。
ほとんどが、この農園の恩恵を受けているのだ。
即刻、「芋煮会」のお知らせを参加者に一斉メールし、
チラシも作ってサ高住内の掲示板三カ所に貼り出した。
すると、どうだろう。
料理万能のメンバーがすかさず呼応、
体力に自信のある有志が声を掛け合って、芋を掘り、芋洗い。
畑からはゴボウや大根、下仁田ネギ、きのこなどもふんだんに供給され、
さらにこんにゃく芋でこんにゃくも手作りされ、
そこに山形風ということで、牛肉をどっさり入れて、大鍋でぐつぐつ煮込んだ。
それが美味しくないわけはない。
もう絶品。
かくして、当日は秋晴れの原っぱの真ん中に置かれただるまストーブの上で
程よく煮えた「芋煮」に口コミでやってきた地域の方々と舌鼓を打った。
と思ったら、である。
なんと、なんと一週間もたたないうちに、
今度は「芋煮会の反省会のおでん会」をやることになった。
私としては、「反省はなにもない」と言い募ったが、
またもや「原っぱ」の真ん中に置かれただるまストーブの上で、
大根やジャガイモの入った美味しいおでんが煮え、
どこからともなく次々と人が集まって来た。
「おでん」を食べながら、楽しそうに男性たちが言った。
「この原っぱいいねえ、ここに栃木の大谷石でさ、
みんなでかまどを設置するかあ」と。
さすがに、私は叫んだ。
「駄目ですっ!! ここは人形劇の舞台にするんですっ」
「それは、べつにやめにしてもいいんじゃないの?」だと。
那須で畑をやったり、ログハウスを自力で作ったり、している男性たちは、
みなリタイア後に東京方面から移住してきた人たちばかり。
彼らは、バーベキューとか芋煮会とか、手打ちそばの会とか、おでん会とか、
集まって食べたり飲んだりが本当に大好きなのだ。
嬉しそうったらない。
でもその背後には、好きなことに日々明け暮れる夫を支える寛容な妻がいる。
そうじゃないと、こんなふうに能天気でいられないよなあ、と私は思う。
それにしても、ぼーっとしていたら「原っぱ」がのっとられそう。