コロナウイルス問題で数か月前から仕事が激減。

元祖フリーターの私は、

会社というものに正規雇用されたことが人生で一度もないので、

年金がこころもとない。

つい長生きしちゃったりした時のために、

元気なうちはずっと地道に働く覚悟をしている。

にもかかわらず、窮地に陥りそうになると、

まるで目の前の現実から目をそらすように、つい衝動に走るタイプなのだ。

あいにく、周りにはそれを止める人がいない。

全然いない。

今回も、フリーランサーなんだから、仕事があやうくなったら、

ここが過疎地であろうとなかろうと、

自前で働く場所を創出していかなくちゃあと思って、

「原っぱ」プロジェクトを立ち上げた。

ところが、闇雲に走りだしたとたんに、なぜか急に仕事が忙しくなった。

どうも世間は、コロナ問題に目をつぶって経済も回そうという方向らしい。

おかげで、毎日へろへろ。

私の気持ちはかなりダウン。

ブレーキがかかってきた。

そもそも立ち上げにはお金がかかるしなあ。

みんなで知恵を絞って事業展開すればきっと稼げる、

なんて思うのは、あまいんじゃないの? と。

そもそも、野外劇場のために種を撒いたクローバーが、

努力も虚しく全滅してしまったし。

そう、今年の梅雨は長すぎて、周辺の畑の野菜もなにも不作。

ものすごい勢いで雑草ばかりが繁茂していく。

草刈り機で刈っても、刈っても太刀打ちできない。

あれれ、クローバーって、

昔は原っぱを形成する他に敵なしの強靭な雑草だったんじゃないの

と思うけれど、最近は外来種の雑草が入り込んできて、

ニッポンの雑草などあっという間に駆逐されそうな勢いなのだった。

私は、まるで、この国の行く末みたい……としょげてしまった。

けれど、悪戦苦闘する店子(私)の姿をみるにみかねてか、

地主さんが丘の家からおりてきて強力な草刈りマシンで

草をがんがん刈ってくれるし、

誰かが「やっぱ、電気を引かなきゃあ」と言えば、

「しょうがないなあ、引いてあげるよ」と、

近所の元電気会社O‌Bの移住者が言ってくれるし。

早朝から花の苗を次々植えてくれるガーデナーたちの姿に涙が出るし。

 

 

 

今さら、言い出しっぺの私が仕事が忙しくなったし、

こんな大変なことをやるのは無理、もう疲れるのイヤ、なんて弱音は吐けない。

どうしたものかと落ち込んでいたら、

ついに発注済みだったダンダラ縞の屋根飾りのついたガーデンハウスが、

「原っぱ」に出現するに至った。

それを見て「あらら、本気だったのね、じゃあ、私も本気になる」

なんて言い出す人も。

そして、今日もまたひとつ、

同じく発注済みだったパペットハウスが建ち始め、

その斬新な小さなハウスをみたとたん、

私はこの人生最後のプロジェクトにかけてみよう、

とまたまた新たなる決意をしてしまった。

長年培ってきた後先を考えない、なんとかなるさ、の元祖フリーター気質は、

結局、最後まで治らないと思い知った気がする。