いきなりの残暑。

聞けば、どこもかしこも猛暑に次ぐ猛暑。

元住んでいた東京練馬の気温が36度とか38度とか。

あっけにとられているうちに、わがサ高住の周辺では、

すでにコスモスが咲き始めている。

ススキの穂も風に揺れ始め、

ただでさえ短い高原の夏がたちまち過ぎていきそうな気配だ。

それにしても、どうにもとまらないのが新型コロナウイルス。

なんとかならないものか、と日本中にため息がよどんでいる気配。

那須町には、今のところは感染者が出ていない。

けれど、隣町で、先日、感染者出現!と噂になったりしている。

なんというか、戦々恐々というか……。

いよいよかなあ、というか……。

私としては、家族を首都圏に残したままなので気が気ではない。

いっそ、都会に見切りをつけて、こちらに疎開して来てほしいなどと

ひそかに思っている。

向こうは向こうで「高齢の母を危険にさらしてはいけない」と

この夏の来訪は断念し、

もっぱら私はリモートで「元気?」と存在を確認されている。

 

 

 

 

 

 

 

その息子が言う。

「東京ナンバーの車なんかで行ったらさ、そっちでは嫌がられるよねえ」と。

確かに地方の人たちの心境はビミョウ。

駐車場に並ぶ「東京ナンバー」にヤバイ感じを募らせている様子が濃厚なのだ。

なにしろ、こちらも首都圏にちょっと行って帰ってきたりしたら、

高齢者住宅なもので、2週間は自室で自粛をしなければならない。

友人、知人から「疎開に行きたい」と言われても、

「一緒に会食したりはできないよ」と、口をもごもごさせねばならず、

なにやらつらいものがある。

その一方で、このところの明るいニュースといえば、

別荘の売れ行きが右肩上がりの様子だということ。

ここには、バブルの頃にできた広大な別荘地がたくさんある。

そこに建てられた中古別荘が、長く長く売れないまま放置されていたけれど、

新型コロナウイルス以降、風向きが変わりそうな気配なのだ。

東京に帰らずじまいの別荘定住のリタイア組少数派が言うには、

首都圏の友人から、移住したいので家を探してとしきりと頼まれるとか。

急ぎ不動産屋さんに行ったら、忙しさのあまり店に人も居ない状態。

「かなり強気でいるよ」なんて言う。

確かにウイルス感染拡大の都会で外出もままならずに一人で暮らすより、

いっそ感染のない過疎の地で気ままな一人がいい、

それが実感だろうなあ、と思う。

つまり、「人が少ない」とか「人に会わない」とか、

これまでのマイナスイメージがプラスへと変化しつつあるわけで、

時代の価値観が予想外な方向へとじわじわ動き始めているのかも。

妙な時代に生き合わせたものだなあ、と思うことしきりだ。

どうなっていくのか、見届けたいなあ、という気もする。