あの山田さんが、那須で居酒屋をやった。

あの山田さんって、どの山田さん?と言われそうだけれど、

半年前、私がチームで出した介護の本の出版記念セミナーをやってくれた

あの山田さんだ。

出会ったばかりで、ちょっと頼んだら、「いいよ」と簡単に言って、

そして、人をたくさん集めてくれた。

彼はかなりの酒飲みで、セミナーの後には必ず大飲み会をやる。

それを通じていろんな人が次から次へとつながっていく。

今や、彼を中心に介護について一家言ある人たちのネットワークが生まれている。

彼自身も東京・三鷹で「リハビリデザイン研究所」というのをやっている。

政府が補助金を出してくれる機械浴に反対し、今はもっぱら個浴用のお風呂を販売している。

パートナー兼秘書役のSさんと二人、どんなに介護の重い人でも入浴できるヒノキのお風呂を作り、

それをセミナー付きで広めようと全国をキャンピングカーで回っているのだ。

「風呂って身体を洗えばいいだけのもんじゃない、文化だろう?

しかも一人一人、ちゃんと入れられるんだ、

その方が、安くて、効率も良くて、生きててよかったって喜ばれるんだ、どっち選ぶ?」

山田さんに熱く言われると、「もちろんヒノキ」と叫んでしまう。

彼らは、相変わらず、突然、キャンピングカーで那須にやってくる。

那須は広い。キャンピングカーを停車させて泊まれるところだらけ。

それがよほど気に入ったのか、

「こっちこようかなあ」なんてつぶやいていると思ったら、

本当に、廃校小学校の教室で介護用お風呂や家具の展示を始めている。

いつのまにか同じテナント仲間じゃないの! ということになっているのだ。

この元小学校は、「那須まちづくり広場」株式会社が運営している。

会社を立ち上げたのは、私の住むコミュニティの住人仲間で、

介護型の高齢者施設とか、多世代のシェアハウスとかを作るのだそうだ。

その予定はまだ未定だけれど、このプロジェクトにあの山田さんも協力をするらしい。

彼が、やろうかな、とつぶやくと、ほんとうにやってしまうので、

個浴の介護用のヒノキのお風呂のある介護施設ができるのかもしれない。

ここで居酒屋やるんだ、やるんだ、と言っていたと思ったら、本当にやってしまったし…。

今後は、毎月、元小学校の元調理室(今は喫茶店)で、居酒屋を開くことになるらしいし。

「でも、ここでお酒飲んだら、家に帰れないよ」と言ったら、

那須では運転代行サービス、

つまりお酒を飲んだ時には車も人も運んでくれるタクシーを利用するのが常識なんだそうな。

そして、初の居酒屋イベントは大盛況。

モツ煮とかおでんとか、餃子とか…。

介護、介護、というと、大変、大変、と思うけれど、

この分野には規格外のチョーのつく、しかも実践力のある人が、少なくないのである。