国連の推計では「2007年に生まれた日本の子どもの半数以上が、107歳まで生きる」とか。

これを知って、びっくり!

思わず、誰もいない家の中で「エエッ!」と叫んで椅子から立ち上がってしまった。

これは「LIFE SHIFT―100年時代の人生戦略」という本に書いてあったデータなのだ。

著者はリンダ・グラットンというロンドン・ビジネススクールの教授。

ビジネス思想家なんて呼ばれている著名人の一人だ。

なんでそのような本を読んだのかというと、たまたま仕事で必要があってのこと。

日頃は絶対手に取らないようなビジネス翻訳本をいたしかたなく読むことになったのだ。

その本では、世界はどんどん長寿化しているので、人生100年に向けての人生戦略が必要で、

「老い」とか「若さ」とか「仕事」というものに対するこれまでの概念を

大きく変えて生きていかなきゃいけない、という警告が発せられていた。

それにしても、100歳超えがフツウになる時代が来る、なんてねえ。

このデータを見て以来、2010年以降に生まれた7歳と4歳の孫娘を見る度に、

「この子たちは107歳以上生きるのだ」との思いが、つい私の頭をよぎってしまうようになった。

なんだか、幼い彼女らが宇宙人のように思える。

でも、よくよく考えてみると、確かにそんな時代の予感もする。

私は、ご近所の有料老人ホームと付き合い始めて25年にもなるけれど、

この間の変化のテンポはかなりのものだ。

介護保険前だったということもあるけれど、25年前には入居されている方に

60代、70代の方々がいたけれど、今は、それはまれだ。

目下、入居されている方の平均年齢は88歳。

確実に年々高くなっていて、元気な90代の方々が大勢おられる。

先日も、ホームに遊びに行ってお喋りをしていたら、

「月に2度くらいは、がっつりしたものを食べたくなるのよね。

で、みんで近所のステーキ屋さんに行ったのよ」

なんて話を聞いた。

その「みんな」とは、97歳を筆頭に93歳までの仲良し6人組の話。

彼女たちは、わが母と同世代の方々だ。

でも実際には、お互いが話の合う同世代という感じ。

年齢の隔たりを感じない。

親しくなった今は、ほぼため口で喋るお友だちだ。

でも、彼女たちと話をしていると、不意に、

歴史上の人物と思っていた「下田歌子」が、母校の校長先生として登場したり、

「2.26事件のあった日は、女学校の入試の日だったのよ」みたいなことが、

ぽんぽん飛び出してくる。

一瞬、タイムスリップした気分。

これでは100年前のことなども、ついこの間だったっけ?

みたいな思いにもなってくる。

ともあれ、70歳女性の平均余命は、目下およそ20年。

そろそろ私も仕事をリタイアして趣味に生きようと思っていたけれど、

長生きになればなるほど、お金がかかる。

 

 

 

 

 

 

働ける間は働く、これからはどうもその覚悟が必要らしい。

「LIFE SHIFT」を読んで、ハシッと頬を打たれた気分になってしまっている。

頑張らなきゃ、そう思いつつ、孫娘の保育園にお迎えに行ったら、帰り道に、

魔女ごっこにハマっている4歳の孫娘が叫んだ。

「ワタシ、魔女で~す。104歳なの」だって。

いやいや、そんなもんじゃないでしょう?

なんせ魔女じゃなくても、あなたは107歳超えちゃうんだから、

と思わずつぶやいてしまったのだった。