暑い日が続きますね。こんなときは部屋でゆっくり絵本を楽しむのはいかがでしょう? 今月は、昔話絵本『三びきのやぎのがらがらどん』と『かにむかし』の2冊をご紹介します。昔話は、絵本になるとき省略されたり、作り替えられたりして、本来の面白さや力強さが失われてしまうことがあります。でもこの2冊は、3度の繰り返しや単純明快なストーリーがそのまま残され、子供たちをとりこにします。夢中になっている子供たちの様子も楽しんでください。

『三びきのやぎのがらがらどん』(3歳ぐらいから)
北欧民話 絵/マーシャ・ブラウン 訳/背田貞二
福音館書店

3匹のやぎが草場をめざして山を登っていきます。途中の橋の下には恐ろしいトロルが待っていますが、小さいやぎはかたことかたこと、2番目のやぎはがたごとがたごと、3番目の大きなやぎはがたんごとんがたんごとん…と、トロルをやっつけてしまいます。お子さんが怖がるようなら、怖さを楽しめるようになるまで待ってください。

 

 

 

 

『かにむかし』(5歳ぐらいから)
文/木下順二      絵/清水崑
岩波書店

カニが毎日世話をしていたカキの木が赤い実をつけました。すると猿がやってきて実を横取りし、カニに青い実を投げつけます。べしゃりとつぶれたカニからたくさんの子ガニが這い出してきて、親の敵討ちに…。軽快な語り口、楽しい擬音語の連続で最後まで飽きません。墨で描かれた絵も楽しめますよ。

 

 

 

 

 

 

嶋田さんH200

しまだ さよこ★プロフィール
1948年兵庫県神戸市生まれ。1998年から地域の小学校で読み聞かせを始める。絵本の楽しい世界を多くの人に伝えたいと、自宅で「とちのき文庫」を開設。JPIC(出版文化産業振興財団)読書アドバイザー。