転んだ時に前歯が少し欠けてしまいました。このまま放っておいても大丈夫でしょうか?(42歳主婦/4歳男児)

歯科/幅200

 

 

 

 

転んだ時に下顎をぶつけて上下の歯同士が強く当たったり、

直接硬いものにぶつけたりすると歯が欠けてしまうことがあります。

欠損がごくわずかでエナメル質に限局していれば

そのまま様子を見るだけで済むこともありますが、

象牙質に及ぶ破折は受傷程度に応じた治療が必要になります。

エナメル質は固く痛みを感じない組織ですが、

象牙質はエナメル質に比べて柔らかいので、

欠けたままにしておくと虫歯になりやすく、

神経の末端が分布しており痛みを感じる組織だからです。

痛みを訴えなくても

細菌感染や温度的・機械的な刺激から歯髄の炎症を起こすこともあります。

早めに小児歯科を受診することをお勧めします。

小児は身体に占める頭部の割合が大きく、

転んだ時に頭や顔面によく怪我をします。

歯科で対応する外傷には歯冠破折のほか

歯の脱臼・転位・動揺、さらに唇や頬粘膜・歯肉など軟組織の裂創があります。

そしてもう一つ、忘れてはいけないのが歯の変色です。

ぶつけた直後は何ともなかったのに、

しばらくしてから歯の色が変わってきたり、

歯肉に膿をもってくることがあります。

ぶつけた時に歯髄の神経や血管が損傷を受け、

歯髄全体が死んだり腐ってしまったためです。

歯髄が死んだり腐ったりしても、

虫歯の場合と違って痛みを伴わないことが多いのでつい放置されがちですが、

乳歯では永久歯の発育や生え代わりの障害になることも少なくありません。

乳歯が外傷を受けた場合は早めに小児歯科専門医を受診し、

永久歯への生え代わりの時期まで、定期的な診査を受けた方が良いでしょう。

★回答者……

ポプラH150歯科医師/高林周平先生

1953年東京都生まれ。1979年、北海道大学歯学部卒業。
北海道大学歯学部小児歯科学講座入局。1984年、新松戸
で「小児歯科ポプラ診療室」を開業。日本小児歯科学会認
定小児歯科専門医。