歯が抜けたまま1年以上生えてきません(前歯で1本だけ)。このままほおっておいて大丈夫でしょうか。(42歳主婦/7歳女児)
上の写真は5歳5カ月のお子さんのレントゲン写真です。
乳歯の下にはそれぞれ一本ずつ永久歯胚(永久歯の芽)が
控えており、成長発育しています。
歯胚の根部が成長するにつれ、
永久歯は少しずつ先行乳歯の根を吸収しながら口腔内に向って伸びてきます。
根吸収が進み乳歯が脱落すると、ごく自然に後継永久歯は萌出してきます。
乳歯が脱落した時、永久歯の先端がすでに見えていることもありますが、
通常はそれから1週間ほどで永久歯の萌出を確認できることが多いようです。
しかし、稀に永久歯の萌出が遅れる、あるいは生えてこないことがあります。
萌出遅延の原因は様々で、永久歯胚の位置異常、乳幼児期の外傷、
先行乳歯の齲蝕に起因する骨との癒着、歯肉の肥厚、萌出スペースの不足、
過剰歯の存在、などが考えられます。
また、永久歯胚が先天的に欠如していることもあり、
当然のことながらその場合はいつまで待っても歯は生えてきません。
ご質問のお子さんは前歯が1本だけ生えてこないようですが、
とくに前歯では、萌出時期に左右で大きな差があると、
歯並びにも悪影響を及ぼすことがあるので注意が必要です。
乳歯が抜けて半年以上たっても永久歯の萌出が見られないときは、
歯科を受診して
レントゲン写真を撮るなどして詳しく診査してもらうことをお勧めします。
★回答者……
1953年東京都生まれ。1979年、北海道大学歯学部卒業。
北海道大学歯学部小児歯科学講座入局。1984年、新松戸
で「小児歯科ポプラ診療室」を開業。日本小児歯科学会認
定小児歯科専門医。