歯の隙間が狭く、物が挟まりやすいのですが、歯間ブラシなどを小さい頃から使っても良いのでしょうか。以前母から「あまり小さい頃から歯間ブラシを使っていると、歯の隙間が変にあいてしまって歯並びが悪くなる」と言われました。4歳ぐらいでは、どのようなものをどのくらいの頻度で使えばよいのかアドバイスをお願いします。(29歳主婦/4歳女児)
4歳のお子さんなら歯間ブラシよりデンタルフロスを使う方が良いでしょう。
歯間ブラシは、歯周病で歯肉が退縮した方が、
歯と歯の間にできた三角形の隙間部分の清掃と歯間部歯肉のマッサージのために使います。
したがって成人の使用を前提としたもので、お子さんの使用はお勧めできません。
歯の隙間に残った歯垢は隣接面齲蝕と歯肉炎の原因になります。
隙間の広さにかかわらず、歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れや歯垢はとれません。
歯ブラシだけだと歯垢の50%しか除去できないとの調査結果もあります。
それらを確実に取り除くために欠かせないのがデンタルフロスです。
乳歯列では顎骨の成長に伴って
前歯部に“成長空隙”という隙間が空いてくるお子さんもいますが、
臼歯部にはこの隙間はできず、ぴったりと接したままです。
歯と歯のコンタクトは接触点と呼ばれていますが、
実際は点ではなく広い面で接しています。
そのコンタクト面の清掃にはデンタルフロスが適しているのです。
デンタルフロスには、糸だけのもの、プラスチックのホルダーに糸が着いたもの、
ワックス付きやミントフレーバーなど、種類もいくつかあります。
使う方の熟練度や好み、あるいはT.P.O.に合わせて楽しく使い分けることもできます。
使う頻度は1日1回でもよいですが、
就寝前、歯を磨いた後に行うのが一番効果的です。
ただ、自己流で使っている方では、
ご本人はきれいになった気でいても、
フロスの効果がほとんど見られないことも多いのが実情です。
一度、歯科医師か歯科衛生士に正しい使用法を指導してもらうとよいでしょう。
正しく使用すれば、
歯肉を傷つけることも歯並びを悪くすることもなく、
隣接面齲蝕や歯肉炎の予防効果も非常に高くなります。
お子さんだけでなく大人の方も、
歯ブラシとフロスをセットで習慣化されることをお勧めします。
★回答者……
1953年東京都生まれ。1979年、北海道大学歯学部卒業。
北海道大学歯学部小児歯科学講座入局。1984年、新松戸
で「小児歯科ポプラ診療室」を開業。日本小児歯科学会認
定小児歯科専門医。