1年間、「考える力」というテーマで記事を書くことが出来た幸運に感謝いたします。

伝えたいことはひと通り伝えてきましたが、

なぜ私が「伝えなければならない」という思いに至ったかを

最後に書いておきたいと思います。

順番が逆になりましたが自己紹介を…

最後になりましたが、自己紹介をさせていただきます。

私は幼稚園に入園する時に松戸市に引っ越してきて、

小金原幼稚園 → 貝の花小学校 → 栗ヶ沢中学校

→ 県立柏高校 → 河合塾松戸校 → 法政大学経済学部

を経て社会に出ました。

小学校では、家で勉強をした記憶がありません。

外で遊んでばかりいました。

中学校でもあまり勉強した記憶がありません。

中3の春にやった学力テストの偏差値の数字が兄の通っていた高校と同じだったので

「勉強しなくてもここならいけるな」と思ったくらいでした。

定期テスト前も、受験時も夜9時半には布団に入っていました。

高校ではラグビー部に入り、部活中心の生活で、

学校の授業は睡眠時間にあてて体力温存を図るというひどい有様。

成績はみるみる落ちていきました(笑)。

中学校でもあまり家では勉強をしませんでしたが、

『授業を聴いていた』ので困らなかっただけだったんですね。

授業を聴かないで家でも勉強しなければ、テストの点数が取れないのは当たり前でしたが、

当時は仲間も同じような状態でしたのでそれほど気にならなりませんでした。

進学する明確な理由も考えずに、周りと同じように浪人して大学に進みました。

(当時ラグビー部の同期は全員浪人でした)予備校でも大学でも「勉強」に魅力を見い出せず

趣味やアルバイト中心の生活を経て社会に出ました。

今考えると筋金入りの勉強嫌いですね。

社会に出て気づいたこと

サラリーマンになりたくないなぁと思い、商売を覚えて独立しようと入社した外食企業でしたが、

2年目から本社人事部に異動になり、採用・教育・企画を担当し、

IT企業に転職後も人事の採用・企画・新入社員研修などを担当し、

管理職として自分の部下も育ててきました。

IT企業は一部上場企業でしたので、

それなりに「優秀」と言われる大学や企業(中途採用)からの応募者を選考し、

入社後の活躍を見てきました。

そして、多くの高学歴な人たちが自分でものを考えられない

「指示待ち人間」「マニュアル人間」であることに気がつきました。

過去の事例がない、かなりのアレンジをしなければならない、

といった業務をやれる人間の少なさを感じていました。

私自身「学校の勉強」は嫌いでしたが、

社会に出て「仕事に必要な知識を習得する学び」は好きでした。

新しいことを考えたり、いろいろな工夫をしたりすることも好きでしたから、

人事企画や制度設計・見直しなどの他にも、

会社として新しく何かを検討するような仕事をどんどん回してもらえました。

おかげで、それなりに幸せなサラリーマン生活を送れたと思います。

しかし、自分の子どものことを考えたときに危機感を持ちました。

普通に育てたら、普通に自分でものを考えない「指示待ち人間」

「マニュアル人間」に育ってしまうのではないかと。

「人材開発」の仕事をしながら、我が子の教育は人任せで本当に大丈夫なのかと。

今もそうですが、私が人事管理職をしていた当時の大学生たちはとてもまじめで、

よく勉強をしていました。言われたことはしっかりやります。

しかし、言われないことは呆れるほどやれないのです。

自分で考えて判断することが本当にできないのです。

国立大学卒、有名私大卒の人たちでもそうなのです。

それは、企業で若手の指導をされている方なら肌で感じていることでしょう。

学習塾で出会った子どもたち

そうして危機感が募りに募って、次男が生まれた後、会社を辞めて

半年ほどのんびり子育てに専念しました。

とても楽しい経験でしたが、ずっと専念しているわけにもいかないので、

我が子の教育に関わるには…と学習塾を開きました。

そこで出会った子どもたちは衝撃でした。

どれだけ丁寧に教えても、どれだけ優しい教材を使っても、何度同じことを教えても、

どうしても頭に入らない。

説明が全て素通りしてしまい頭に残らない子がいました。

物事を理解できない子、

そもそも理解しようとせず固まる子、

理解しようと頑張っているのにどうしても理解できない子が結構いました。

小さい頃から学習教室に通い、

小学校の勉強を真面目に頑張ってきた中学生たちの人間力の低さに最初はとても悩みました。

「なぜ こんな簡単なことが理解できないんだろう」と。

分かりやすく図にかいて説明して、例題を一緒に解いてあげて、

じゃあ練習してみようと言った時点で何から初めて良いか分らない、

覚えていない、思考停止状態でした…

それでも反復練習で「分かっていない」のにその場は「出来る」ようになりますが、

その単元が終わるころには前の単元の内容を忘れている状態に…。

「こんなことをしていても子どもは賢くならない!」

根本的な解決方法を探しました。

そして出合ったのが1年間ご紹介してきた「どんぐり倶楽部」の理論です。

どんぐり倶楽部の理論を学ぶことで、高学歴でも指示待ちのマニュアル人間と、

目の前にいる何も自分で考えようとしない小・中学生がつながりました。

ニュースで知った「誰でもよかった」と人を刺した若者と、

何を言っても響かない目の前の無表情の子どもたちとがつながりました。

子どものためにさせている点数をとるための「勉強」が、

当たり前になっている「塾通い」が、

かえって子どもたちから「自分で考える力」を奪っている事実を、

自分自身が塾を開いて、子どもたちの反応を見て理解しました。

塾や家庭教師と二人三脚で点数をとり、受験をクリアし、

そして社会に出た途端に手を離され、自分で物事を考えられない、

判断できない人間を「教育」が作り出しているという事実を、

飛び込んでみて初めて理解しました。

現代は「引き算」の子育てを

子どもたちは才能にあふれています。

自分で成長するように生まれてきたのです。

だから誰に教わらなくても何度失敗しても立ちあがり、歩き出し、

言葉を習得してきたのです。子どもの成長するペースを守り、

害になる刺激を遠ざければ、子どもたちは健全に育っていきます。

早期教育のDVDや学習教室にお金と時間と労力を使って

子ども達の「体験から学ぶ」体質を

「なんでも人に教わる」体質に矯正する必要はありません。

外で遊ぶ時間を削って毎日習い事を詰め込む必要はありません。

子どもたちは遊びから社会で必要なことを学んでいくのですから。

我が家もそうですが、私が子育てのサポートをしている家庭は、

テレビを見る時間が少なく、習い事も少なく、テレビゲームは置かず、

「宿題」も子どもにやらせず、叱らない、急かさない子育てをしています。

親子の間からトラブルの素を取り除き、

穏やかに、子どもの成長をじっくり楽しむ子育てをしています。

最初に駆け込んできた時のお母さんの険しい表情が、

とてもやわらいだ穏やかな表情に変わると

子どもも変わります。

今の時代は「足し算」ではなく「引き算」の子育てがおすすめです。

どうか周りに流されずに、大事な我が子を健全に守り育てましょう。