子供の歯のお手入れについて教えてください。歯磨きを嫌がるので、1日1回、夜寝る前だけしています。それも仕上げに親がするとすぐに逃げ出し、歯の裏側や奥歯など完璧にはできていません。2歳でも朝と昼、寝る前の3回の歯磨きは必要ですか? いやがらずにきちんと歯磨きできるようにするにはどうすればいいのでしょうか?(31歳主婦/2歳男児)

虫歯予防のためには、寝る前の歯磨きが一番大切です。

眠っている間は唾液の分泌が減少し、

自浄作用が低下するため虫歯のリスクが高くなるからです。

毎食後に中途半端な歯磨きを3回するより、

寝る前1回の歯磨きを徹底する方が効果的です。

お昼寝をする年齢のお子さんはお昼寝前と夜寝る前、

お昼寝をしないようになったら夜寝る前1回だけの歯磨きでも

時間をかけて丁寧にすれば虫歯は防げます。

しかし、お子さんが非協力で完璧に磨けていなければ、

いつか虫歯ができてしまうかもしれません。

あまり嫌がらずに磨かせていたお子さんでも、奥歯が生えてくる1歳半頃になると

歯ブラシも奥まで入れなければならず、磨く時間も長くなるため、

急に嫌がるようになります。

また、自我の芽生えも手伝って自分でやると言い張る場合も多くなります。

1歳半から3歳半の2年間くらいが一番歯磨きを嫌がる時期だと覚悟してください。

「嫌がるのを無理に磨いたら歯磨き嫌いの子になってしまうのではないか?」

とよく質問されます。

私はその質問に「人間、黙っていても悪い習慣は自然に身に付きますが、

よい習慣は身近な大人が繰り返し教えないと身に付きません」とお話ししています。

歯磨きは良い習慣です。

健康のためにも、また、お子さんの一生にかけて欠かせない習慣としなければならないものです。

お子さんが嫌がる時期にも迷いなくしっかり磨いてあげる親でいて下さい。

親の本気度が伝わり、歯磨きは必要なもの、

歯を磨くと気持ちがいいとお子さん自身が感じられるようになると、

4歳前後からは、夜眠くなると歯ブラシを持って自分から磨いてもらいに来るようになります。

寝る前の歯磨きタイムが生活の一部になったということです。

具体的な磨き方は、小児歯科医や衛生士に指導してもらいましょう。

ただ、磨き方のテクニックだけ覚えても実際にはうまくいきません。

親にとっても忙しい時間に気がせくこともあるでしょうが、

親が子供との時間を楽しむという雰囲気作りも大切です。

歌をうたったり、物語を語り聞かせたり、

前歯と上下左右の奥歯を分けた6ブロックをそれぞれ10数えながら磨いたり、

お子さんが歯磨きタイムを楽しめる工夫も必要でしょう。

最後に奥の手をひとつ。

お父さんとお母さんが順番に寝転がってお互いの歯を磨きあうのを見せるのです。

楽しそうに、気持ちよさそうに磨きあうのを見て、必ず「僕も磨いて!」と言ってきますよ!

幼児は寝かせ磨きをしないとしっかりとは磨けません。

みんなでごろごろしながら順番を待っているのが楽しみとなると良いですね。

幼児は歯磨きも治療も椅子にすわっては出来ません。

★回答者……

ポプラH150歯科医師/高林周平先生

1953年東京都生まれ。1979年、北海道大学歯学部卒業。
北海道大学歯学部小児歯科学講座入局。1984年、新松戸
で「小児歯科ポプラ診療室」を開業。日本小児歯科学会認
定小児歯科専門医。