何のために勉強するのか

 

お子さんの「考える力」を育てる方法を求めて様々な子育て本を読んだり、

学習教室、塾を利用したりする方は多いでしょう。

さて、質問です。

「何のために、お子さんの考える力を育てるのですか?」

ぱっと浮かんだ答えはなんでしたか?

「テスト」「受験」「入試」という言葉が浮かびませんでしたか?

無理もありません。

義務教育は小学校と中学校ですが、高等学校への進学率は97%を超えており、

大学進学率は2014年の時点で51.5%でした。

つまり、ほとんどの子が高校に進学し、2人に1人は大学に進む時代です。

小学校6年間+中学校3年間+高等学校3年間で12年間、

専門学校、高専、大学、大学院に進めば、14~18年間も学校で勉強するのです。

学校以外にも「塾」や「予備校」で勉強する人もいるでしょうから、

若者は社会に出るまでにかなりの時間、学校の勉強をしてくることになります。

長い人生で言えば「学校」は社会に出るための準備期間です。

その準備期間で社会に出てから生き抜く力を身につけなければなりません。

しかし、実際には「小学校」で習う程度の知識があれば

それなりに生活することが出来てしまいます。

大抵の人は、

●実生活では台形の面積を求めることはありません。

●円周率など全く使いません。

●図形の角度を求める必要などありません。

では、なぜ社会に出てから必要としないことまで勉強するのでしょう。

私自身もそうでしたが、

そういったことをしっかり考える時間や納得のいく説明は子供たちにはありません。

親や周りの大人からはこんなことを言われます。

●義務教育だから

●学生の仕事だから

●いい高校、大学に入学するため、そしていい会社に入るために

●大人になった時に困らないように

私が普通の塾を開いていた頃の中学生たちは、

●定期テストがあるから

●高校受験のため

●ワークをやらないと内申点に響くから

●宿題だから

●親が塾に行けって言うから

こんな理由で勉強しているように見えました。

実際のところ、何のために勉強するのでしょうか。

子どもに聞かれて困ったことはありませんか?

その問いには「これが正解」というものはありません。

人によって答えは変わるでしょう。

ここでは、どんぐり倶楽部に用意されている答えをご紹介します。

勉強をする理由は「勉強は人間(成人)になるための頭の体操だから」です。

そして「教育とは人生を楽しむことが出来る力を育てること」です。

勉強がテストや受験のためとなると、おかしなことを始める家庭が多いです。

本来、自分の頭を鍛えるための勉強なのに、

「鍛える」部分を外注してしまうのです。

心当たりはありませんか?

「定期テスト対策 的中率抜群!」

「各中学毎に予想した定期テスト対策問題」

周りにそんな塾のキャッチフレーズに飛びついている方はいませんか?

普段の授業から重要ポイントを押さえ、時間をかけて理解し、

テストの傾向と対策を考え、計画的に大事なところや苦手な部分は何度も繰り返す。

そして、テストが終わったら振り返り、無駄や失敗があったらそれを次のテストで生かす。

この中で一番「頭」を使わないのが「大事なところや苦手な部分は何度も繰り返す」

つまり、子どもたちがやっているところです。

多くの情報の中から重要ポイントを見抜く、理解するために時間をかける、

傾向を読み、対策をたてる、計画を立てる、振り返って改善策を考えて次に生かすといった、

社会に出た時に必要な経験を「塾」や「家庭教師」がやってしまい、

子どもたちは単なる点取りマシーンになっているのです。

結果として高学歴でも仕事が出来ない、指示待ち・マニュアル人間が増え、

社会に出るための準備としての「勉強」で、

かえって社会で生き抜く力が育たなくなっているのです。

 何のために考える力を育てるのか

 

テストで100点をとる、人より計算が速い、漢字をたくさん知っている、

そんなことで子どもにガラスの自信をつけさせてはいけません。

社会で生きていく、いや生き抜くには、自分で自分を守る力が必要です。

自分を守るには自分を信じる力が必要です。

それを自信と言います。

自信があると、多様な価値観の中でも自分自身の価値観を見失わずに生きていけます。

自分自身の価値観、人間らしい行動の判断基準を持つと、

自分自身の人生を楽しむことができます。

自分自身の価値観、人間らしい行動の判断基準を作るために、

「考える力」を育てるのです。