「考える」方法を教わっていない?!

 

お子さんの勉強をみていて、

「よく考えてごらん」と、言うことがあると思います。

「ちゃんと考えなさい!(怒)」のほうが多いかもしれませんね(笑)。

しかし、そもそも「考える」って具体的にどうすればいいのでしょう?

「食べる」「蹴る」「走る」「立つ」「座る」「歌う」といった一般的な動作は、

とくに教わらなくても「見て」、真似をすることで自然と身につけられるものです。

でも「考える」って、誰かが考えているのを見て真似することはできませんよね?

学校でも「考える」具体的な方法を教えてはくれません。

ほとんどのお父さん、お母さんも、教えたことはないでしょう。

「考えなさい!」

と言われても、考える方法を知らない子どもたちは困るのです。

じっと問題をにらむ、とりあえず目にした数字を計算する、目をつぶって腕を組む。

あとは親に怒られないように考えているようなポーズをとる…(笑)

「考えろっていうけど、考えるってどうすればいいの?」

子供にこう訊かれたら、なんと答えますか?

ほとんどの方は答えに困ることでしょう。

学校の先生たちも困るはずです。

「何度も読みなさい!」

「声に出して読みなさい!」

「数字やキーワードに丸をつけなさい!」

そのうち

「この問題の考え方はこうです」と解き方を説明してしまいます。

これでは、子どもたちはいつまでたっても「考える」方法を身につけられません。

 

イメージの再現と操作

 

例えばこんな問題があります。

長さ5㎝のアゲハ蝶(ちょう)の幼虫(ようちゅう)が、6cmの割(わ)り箸(ばし)で作った橋を渡ります。幼虫は2秒で1㎝進むとすると、橋を渡りきるのに何秒かかるでしょうか。数字だけみると、2秒で1㎝だから6㎝だと 2×6=12 12秒 とやる子が多いです。私の長男も小2でにこの問題に挑戦した時、そんな間違いをしました。

誤答400

 

 

 

 

 

 

最初はこんな感じの絵を描いていました。

文章問題の言葉をイメージ(絵)に再現しています。

しかし、問題を読んで「簡単」と思ったらしく、計算で答えを出してしまいました。

ちょうどかけ算九九を教わっていましたので…。

これは考えていないのです。イメージの再現も中途半端です。

これでは「わからない」のです。

間違えた問題は解き方を教えず、解きなおしもすぐにはさせないので、

これは小3の夏休みに再挑戦した時の絵です。

正解/400

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今度は幼虫が箸の橋を渡っているところを絵にしています。

しっかり問題文の言葉をイメージ再現し、

文章にあわせてそのイメージ(絵)を操作しています。

この、イメージを操作するということこそ、「考える」ということなのです。

5+6=11、11×2=22 という解き方を教えても、解く手順を覚えても、

「考える」ことにはならないのです。

だから「考える」には、まずはイメージをしなければならないのです。

そして、その絵を操作(変形)することが「考える」ということなのです。

私が子どもたちによく言うのは

わかるとは絵に出来ること………言葉をイメージに再現

考えるとはその絵を動かすこと……再現したイメージを操作

だから、わからないときは眺めていないで絵図を描こう

お子さんの「わからない」に、

「しっかり考えなさい!」と言っても駄目なのです。

「わからない時は絵にしてみようか、描いた絵をどんどん動かしてごらんよ」

これが子どもに「考える」方法を身につけさせる最高のアドバイスです。

昔はまだよかったのです。

「ごっこ遊び」「チョークで落書き」「お絵かき」「ぼ~っと空想」などなど、

イメージ力を育てる遊びや時間がありましたから。

しかし、幼児期からテレビやゲームの映像を受け続けている現代の子どもたちは、

イメージをする力が悲しいくらい育っていないのです。

当たり前ですね。人間は生まれてから環境にあわせて成長します。

自分でイメージする「必要」がなければ、イメージする力は育ちません。