歯磨き粉について教えてください。子供用の歯磨き粉は甘くて飲み込んでしまうので、大人の歯磨き粉を使わせてみたらあまり嫌がらずに磨いてくれます。飲み込むこともあまりないように思います。大人用の歯磨き粉にもフッ素が含まれているのでこのまま使用しても大丈夫でしょうか?(32歳主婦/3歳女児)
歯磨き剤は飲み込んでも害はない成分で作られています。
しかし、飲み込ませないために大人用をつけるよりは、
初めは何もつけないでブラッシングをしてあげることをお勧めします。
ブラッシングは虫歯、歯肉炎、歯周病の予防と改善および
歯の表面の着色除去のために欠かせないものですが、
歯や歯肉に歯ブラシの毛先がきちんとあたっていれば、
歯磨き剤がなくても効果があるのです。
歯磨き剤をつけずにブラッシングを続けていれば、
磨いた後にクチュクチュペやうがいができるようになる3歳頃からは、
子供用の歯磨き剤を使用しても飲みこまないようになります。
また、使用量も大切です。
2歳ぐらいまでは歯ブラシの先端にごく少量を、
3歳から5歳ぐらいでも5ミリほどの量を付ければ充分です。
味がわかるほど付けているということは明らかに量が多すぎます。
歯磨き剤を付けると泡立ちや清涼感などで早くきれいになったと錯覚し、
大人でもブラッシング時間が短くなる傾向があります。
重要なのは歯磨き剤の種類やその成分より、
確実に歯垢が落ちて歯肉のマッサージもできているかどうかという、
磨き方のほうではないでしょうか。
現在、日本製の歯磨き剤の90%は、
歯のエナメル質の結晶化や再石灰化を促進することで虫歯を予防するフッ素入りですが、
歯磨き剤が子供用・大人用と分かれているのは成分の含有量の差です。
乳歯や生えたばかりの永久歯がある年齢層向けの子供用は、
虫歯予防に重点を置いてフッ素の含有量が多く、
味もフルーツ系の甘いものが多いようです。
大人用は歯周病の予防や改善、
あるいはホワイトニング効果に重点を置いた薬用成分が多く配合され、
味も香りもミント系の爽やかな使用感を持たせた製品となっているようです。
それぞれの特性に合わせた製品にはそれなりの効果の差があり、
年代にあった歯磨き剤を
それぞれのお口の状態や目的に合わせて選んで使う方がその効果を期待できます。
歯科医院で販売されている子供用の歯磨き剤は値段も少し高めですが、
フッ素の含有量が多く、
ブラッシング時の発泡性や研磨性が低い成分からなっています。
正しい磨き方と適切な歯磨き剤をかしこく使い、
子供のころから歯と健康を守っていく良い習慣をつけてあげたいものです。
★回答者……
1953年東京都生まれ。1979年、北海道大学歯学部卒業。
北海道大学歯学部小児歯科学講座入局。1984年、新松戸
で「小児歯科ポプラ診療室」を開業。日本小児歯科学会認
定小児歯科専門医。