虫歯になりにくくするため、奥歯の溝に「シーラント」という詰め物を入れるとよいと聞きました。これはどういうものですか? 子供の体内に取り込まれても大丈夫でしょうか? また、現在4歳ですが、何歳ぐらいからできるのでしょうか?(39歳/主婦)
シーラントとは奥歯の咬合面の溝を特殊な樹脂を流し込んでふさぎ、
虫歯を予防する方法で、咬合面のある歯(臼歯部)に行うことができます。
乳歯では8本、永久歯では16本〜20本がシーラント処置対象の歯となります。
奥歯は食べ物をかみ砕きすりつぶすための歯で、
かむ面が広く凸凹しており、前歯部と異なり深い溝があります。
溝の中は食べかすや歯垢がたまりやすく、
ブラッシングでそれらを完全に取り除くことが難しく、
虫歯の好発部位になっています。
そうした深い溝をふさいで汚れが入らないようにする物理的予防法がシーラントです。
さらに最近ではエナメル質を硬く丈夫にする化学的予防法であるフッ素を配合してある
「フッ素徐放性シーラント」を使い処置するのが主流になっています。
奥歯は、乳歯も永久歯も萌出完了後なるべく早くシーラントをするのが良いでしょう。
初めて生えてくる奥歯は、第一乳臼歯という前から四番目の歯です。
1歳過ぎに萌出を開始して1歳半くらいで萌出が完了します。
萌出が完了した奥歯なら、歯を唾液から隔離できるラバーダムという防湿法が使えるので、
シーラント処置が確実に行えます。
経験豊富な小児歯科専門医であれば、
1歳半のお子様でも、きちんとシーラントしてくれるはずです。
2歳半〜3歳頃には第二乳臼歯が、6歳〜12歳にかけては永久歯の奥歯も生えてきます。
それらの歯にも適切な時期にシーラントをするため、
またシーラントが確実に付いているかをチェックするために
定期的に検診を受けることをお勧めします。
安全性については1990年代中頃、シーラントを含む歯科材料から
環境ホルモンが溶け出しているのではないかと報道されたことがあります。
しかし、その後の研究や調査からその疑いは否定され、
米歯科医師会も日本歯科医師会も安全宣言を出しています。
★回答者……
1953年東京都生まれ。1979年、北海道大学歯学部卒業。
北海道大学歯学部小児歯科学講座入局。1984年、新松戸
で「小児歯科ポプラ診療室」を開業。日本小児歯科学会認
定小児歯科専門医。