質問:2歳10カ月の男の子。もうすぐ3歳になるのに、いまだにおっぱいを欲しがります。おっぱいはもう出ないのに、夜寝るときも、おっぱいを口に含まないと眠りません。もうそろそろ強制的にやめさせたほうがよいでしょうか?
やめさせる必要はありません。
赤ちゃんは生まれるとすぐに、おっぱいを吸うことができます。
哺乳動物である人間にとって「吸う本能」はとても大切な本能なのです。
この「吸う本能」は、だいたい4歳前後まであります。
母乳でも、哺乳瓶でも、ゴムのおしゃぶりでも、
その子の吸いたいという本能がなくなるまで、
つまり自然に本人が止めるまで続けることが大切です(ただし指しゃぶりはダメですよ!)。
赤ちゃんは、すごい力で吸うでしょう?
その力が加わることによって、①あごの骨が発育して歯並びがよくなり、
②口の周囲の筋肉、噛む筋肉が発達し、
③口を結んで鼻で呼吸しないと吸えないため、
自然に鼻呼吸ができるようになり病気にかかりにくい人になる(鼻には外気中の菌や
ゴミなどを捕らえる絨毛が生えているし、適度な湿気が加えられた空気が肺に入る)と、
よいことばかり。
お母さんは周りの子供と比較してあせったりせず、
お子さんが吸いたいだけ吸わせてあげましょう。
4歳ごろには自然に欲しがらなくなりますよ。
★回答者……
小児科医師/藤塚万里子先生
1942年生まれ。千葉大学医学部卒業。地域の中核医療を担う
松戸市立病院で20年間、近隣地域から運び込まれる様々な重症
児の治療にあたる。同時に、同院の未熟児・新生児科の基盤づ
くりにも携わる。その後、ルワンダなど海外で医師としてボラ
ンティア活動を行う。現在は松戸健康福祉本部嘱託医。