突然、高校時代の同級生からクラス会の知らせが届いた。
振り返れば、私が高校を卒業してからすでに半世紀以上が経つ。
しかも、その高校は北海道室蘭市の公立高校で、
生徒の多くは製鉄会社の大きな社宅街で共に育った面々だ。
みな、親の転勤の度に東京や名古屋や北九州を転々としてきた。
おかげで、あちこちで再会したり、また別れたり……。
そんな中、目下、東京で暮らす面々が「関東支部」と称して久々に集まることになったのだという。
みんな、定住せず、住所の定まらなかった私のことをよくぞ思い出してくれたなあと、
なんだか胸が熱くなった。
そして、その日。
指定された新橋のパブに集まったのは15名。
さすが幼稚園時代から続く幼なじみたち。よくぞ、集まったものだと思う。
でも、はじめは顔を見ても「誰だろ?」と、思い出せない。
とくに男性たちの変貌ぶりは大きくて、まるで誰だか分からなかった。
ところが、不思議や不思議。
「メーちゃん、元気でよかった」などと、かつての愛称で呼ばれているうちに、
一人一人の顔に昔の面影が次第に滲みだしてきた。
そうやって打ち解けていくにつれ、どうも私は長いこと、
みんなに心配されていたのかもしれない、という気がしてきた。
思えば、高校時代の私は相当に素っ頓狂だった。
授業に出ないで、学校の屋根に上って寝転んで空を眺めていたり、
なぜか心ここにあらずで生きていた。
あんな感じだったのだからきっと目立っていたのだろうなあ、と今にして思う。
その後も、東京の大学に通っていたはずが、家出して中退しちゃったとか、
結婚したんだかしなかったんだかよく知らないけど、
今は息子が一人いるシングルマザーをやっているらしいとか、
作家になって本なんか出しているみたい、とか。
一応、今の私に至るプロセスはみんな知っているらしかった。
「次の飲み会は、メーちゃんちでやればいいっしょ」などと、
半世紀ぶりの幼馴染たちが勝手に言っているのをそばで聞きつつ、
「ああ、これぞ、幼馴染!」と納得した私だった。
たかが半世紀、されど半世紀。
目下、幼馴染の絆の強さを再確認している私だ。