一人暮らしをする65歳以上の高齢世帯の割合が増え続けている。
5年後くらいには、47都道府県で20%を超えるという。
とくに大都市圏では、その数がどんどん増えるらしい……。
というような資料を読んで、その「どんどん増えるらしい」と言われる団塊世代の一人である私は、
思わず頷いてしまった。
一度は、のんびり自然の中で暮らそうとした私だった。
けれど、高齢になり車の運転をやめた途端、いとも簡単に自由を失ってしまった。
ならば、徒歩5分以内になんでもあって、どこにでも電車を乗り継いで一人で行ける東京の自宅の方がいい!
そう思って東京に帰ってきたのだった。
が、なぜか毎週のように息子がやってくる……。
「大丈夫かなあ? なんか淋しいのかなあ…?」と、息子のことを心配していたら、いきなり彼に言われた。
「あのね、ボクさ、お母さんの面倒はみられないと思うから、将来、どうするかは、自分で考えといてね」だって。
思わず、きょとんとしてしまった。
むろん、私はちゃんと考えている。
両親の介護に20年も費やした私としては、自分の未来の介護は自分でなんとかすべき、と思っている。
自宅から徒歩3分のところにある有料の高齢者ホームに入居するつもりだ。
入居できるのは80歳からなので、まだ数年はある。
だから今は、そのホームに食事だけ頼んで、毎日、食べに行っている。
今の私の夢は「親から受け継いだ自宅を売却し、高齢者ホームに入る」だ。
それって、なんかしょぼい夢かなあ、と思ったりもするけれど、
周りからは「すごい! 準備万端でいくのね」とも言われる。
なのに、一人暮らしの高齢者が増え続けている、という目下の事態に突き当た
ってしまった。私としては、ただ呆然としているわけにいかない気分。
ともかく部屋を確保して、来たるべき時に備えなければ……。
そもそも、そのホームは、両親が入居してお世話になった場所。
取材を通して自力で見つけたそのホームのすぐ近くに引っ越してきて、
やっとの思いで、親の介護と自分の仕事の両立を図ったのだ。
いつも、ボーっとしていて要領が悪いと言われてきた私だったけど、
でも、最後くらいはね。
頑張って自分で納得のいく晩年にしたいな、と思っている。