■俳諧「奴凧」
早咲きの桜嬉しや伊豆の旅 佐藤 春生
山茶花や散るもあでやか掃きとどむ 吉沢緋砂子
春立つや万事に耳を立てにけり 鈴木 翠葉
七種を数えて今日の朝餉かな 勝 太郎
心地好し春一番に身をまかせ 小林 今浬
よく笑ふ人と同席梅の苑 松山 我風
■夏日俳句会 望月百代 選
遠山に日よ二ン月の終りけり 《主宰句》
末黒野に欠けたる月の残りけり 井川 美江
ヴァイオリンの高鳴り春起こしたり 井土絵理子
線香の煙ひとすぢ春立てり 岩下三香子
東風吹くや髪靡かせて走る子よ 太田 住子
春浅き舌に溶けゐるウエハース 河野 悦子
球春やルーキー競うて鬨の声 佐藤 隆平
雨水かな待ち針打ちて小花柄 鈴木 るる
付き添ひの母の鼓動よ大試験 築 幸枝
啓蟄や児に手渡して昆虫記 都丸れい子
亡き母の笑顔にも似て梅咲けり 西岡千代子
野を駆ける二月の風に背ナ押され 間部美智子
口漱ぐ水に錆の香節分会 丸澤 孝子
早春の光に吸はれゆく小舟 渡辺 紀子
■短歌「合歓の会」 久々湊盈子 選
色ふかき八重の椿は花盛りさながら樹下を血溜まりとなし 《選者詠》
大豆食み年の数だけ住みついた心の鬼を追い出しており 野口 貞子
亡き母から譲り受けたるカーディガン喜寿過ぎし今の我に映りぬ 天野 克子
山積みの書類の整理を始めたり夫は友の急死ののちに 羽毛田さえ子
この人がほんとの母と告げられた七つの夏の浜辺の記憶 助川さなえ
些細なることに喜び安堵する心ひとつで幸いはあり 田代 鈴江
■川柳「暁子の会」 米島暁子 選
メルカリで思い出も売る小半日 《選者吟》
人生に花丸めざし生きてます 中津 和子
雷に急ぎ逃げ込む蚊帳の中 鈴木 絢子
抑制は体に悪い伸び伸びと 谷畑 顕
手を繋ぐ丸い輪になるみな笑顔 寺前 絢子
無理なのにセーブできない恋心 桶谷 康子
声援が箱根の坂を押し上げる 花島 和則
箱根路へデッカイ夢が駆け上がる 髙橋 和男
白寿まで米寿卒寿も通過点 板橋 芳子
ありがとう言って言われて気が和む 血矢 行男
都会には星がまばらで淋しくて 藤田 栄子
途中下車してみたくなる住んだ駅 鈴木 綾子
■つれづれ句会 ― 投句 ―
山に折り谷に折りして紙雛
雨の日の午後しづかなる桜もち 甲
寒き朝しずかに昇る陽を浴びて並木のイチョウ霜の葉散らす お太助
大雪の予報ばかりや古里思う
春立てど富士は真白き姿かな 三 島
日の光追いかけ追って梅屋敷
身の辺り整理ぼつぼつ梅ひらく 波
久々のライブハウスに歳忘れ
サックスの音色に冬の夜嬉々として 卯 月
雪かぶり南天の実や厄払う 悠 心
干支に会え友とぴょんぴょん健康に かもめ
賀状書くたびに思ふ一人の友 火 山
北風に乗って聞こえる灯油売り 善 彦
神木に二拍一礼初祈り 敬 直
喜寿過ぎて温き床抜け初日の出 美 公
黄泉の道まだ行くまいと屠蘇重ね 一 憲
初釜やまばゆき足袋のにじり口 荘 子
あおい空赤い椿にメジロ来る 義 明
正月の喧噪すぎてほっとかな 紀 行
初鏡蒔絵の櫛や祖母想ふ 光 子
たそがれの鉄路をよぎる狸かな かほる
吹雪く夜は君に伝授のしもつかれ ちか子
面影は往時のままに賀状読む 恵美子
楽しいより嬉しいがいい歳になる
子を忘れどの時間を義母は生きている す ず
白椿ま白のままで足元に
きわだちて弓なり白き雪柳 輝
ネクタイのパンダ寝かして福は内
学舎の裏に兎の墓づくり 鳴 砂
今宵また南の空に光る粒成田に向かう旅する星か
外界の音消し降りつむ初雪は緑なす葉に白き花咲く 一 蝉
このご飯ちゅ~るが入っていませんよハンストにゃんこの視線が刺さる 風知草
丁寧と善処しますが常套句
マンガ読みSNS駆使するルフィたち 沖 阿
■莢の会 ― 投稿 ―
なばなたば 東 恵子
すごい勇気 ここ どこかわかる?
香川県から嫁にきた あなた
菜花の束 わが県の花は菜の花なのよ
菜花の束 丈15センチ 12本入り
高価なはずよ ほうれん草 小松菜 春菊
よりも割高 遠距離代金 流通の不思議
集合住宅の天辺 ベランダは ほの 暖かい
遠くへ行きたい 違う私になりたい