那須に移住して5年が過ぎようとしている……と気づいて、なんだか私は呆然としている。
そして思った。その分だけ年齢を重ねてしまったわけだから、いろいろあってもしょうがないのよね、と。
なにがしょうがないか、というと、
今年は、身の程知らずに次から次へといろんなことをし過ぎた、と思う。
さらに夏が過ぎ、紅葉に彩られた秋が深まっても、
遊びに来た友人たちとなにかと温泉巡りなどにうつつを抜かし……ということを続けていたのだ。
そして、ついにへろへろ、心底、疲れ果ててしまった。
休んでも休んでも、どうしても疲れが抜けない。
今や、気を許してちょっと無理をしただけで、もう、だめ~っ、というほど疲れてしまうようになってしまった。
体重も減り、丸かった頬もとんがってきた。
それと共に、今年の春に坂道で転んで痛めた右の膝がまたしくしくと痛み出し、
その右足をかばって歩いていたら、今度は左の膝も痛くなり、
それでも闇雲に頑張って歩き続けていたら、
腰までがずきん、ずきんと痛くなってしまった。
致し方なく、立ち上がるにも、そこらへんのものにつかまって、えい、と頑張
って立ち上がる、なんてことをやっていたら、腕までが痛くなり……。
それやこれやで、ますます疲れ果ててしまったという状況の中、
5回目のコロナワクチンの注射を受けにいくこととなった。
一人で暮らしていたら、もうめんどくさいと、ワクチンを打ちに行くのをさぼ
ってしまうような私なのだけれど、さすがサービス付き高齢者住宅である。
「打ちますか?」と問われ、「はい」と答えれば、書類を整え、予約を取り、
「あなたは何日、何時の車に乗って下され」と、すみやかに指示してくれる。
かくして送り迎えの8人乗りのワゴン車に8人ずつ乗って、
地域の会場へとみんなで行って、みんなで注射を打って、帰って来た。
そこまではどうってことなかったのだけれど、自分のハウスに戻って、
ベッドに横になった途端、どかんとした疲労感に襲われて、そのまま眠ってしまった。
夕方からリモートで、取材をされることになっていたことなど、忘れ果てて、
と言うよりも、目が覚めなかったものでそうなってしまった。
それで、相手が何度、電話をしても気がつかずのまま、ということに。
とうとうフロントからスタッフが「電話をとってくれない、と電話が掛かってきてますが……」
と言いに来てくれたらしいが、そのことにも気がつかず、
「留守」ということに。
そんなこととは露知らず、ひたすら眠り続けていたらしい私は、
翌朝に無事目覚めて、「あれれ? ここはどこ? 私は誰?」という心境に。
ところが、なぜか気分はすっきり。
機嫌も上々。
かくして、ずっと抜けきれなかったへろへろ感が、すっかりなくなっていたのだった。
眠りから覚めたのは、もしかしてラッキーだったのかも、とも思うが、
この件は深くは考えないことにした私である。