◆俳諧「奴凧」
真っ白だ上越国境山眠る 佐藤 春生
はや師走植木ばさみの励む音 吉沢緋砂子
赤らんだ上弦の月冬隣り 鈴木 翠葉
葉の先に水玉宿る冬もみじ 勝 太郎
去りし友冬銀河の中煌めいて 小林 今浬
凩や月落さんと吹き荒ぶ 松山 我風
凩や上野に宝物ありと来し 江戸川西邨
初時雨小鳥は群れて遠くなり 小檜山游生
◆夏日俳句会 望月百代 選
雪の降る予報タピオカぷちぷちす 《選者吟》
歳晩や御朱印帳の墨匂ふ 井戸絵理子
美しく鎖骨広げてさあ師走 岩下三香子
しんしんと言う音のあり冬の闇 大石 洋子
義士の日や独り祝ひの誕生日 太田 住子
短日や取りこぼす事多かりし 菊井 節子
人の生む音のやさしき冬茜 河野 悦子
仲直りの糸口は何冬木の芽 佐藤かほる
円卓を廻して年を惜しみけり 佐藤 弘子
笹鳴きへ応へさびしさ増しにけり 鈴木 るる
鴨いづこ川面淋しや鴉なく 田中 知子
古暦予定すべてに済とある 築 幸枝
冬日和並ぶ屋台の品定め 恒任 愛子
やきたてのパンの軽さや落葉道 田堂 晴美
冬深む座右に厚き辞書置きて 都丸れい子
吐息つくたびに落つるよ枯葉どち 西岡千代子
寒暁の施設へ薬届行く 間部美智子
失ひし銀のブローチ雪もよひ 澤 孝子
幸せな気分に浸る干蒲団 米倉 典子
星空の老いることなきクリスマス 渡邊 紀子
◆短歌「合歓の会」 久々湊盈子 選
ふくみ笑いしながら風が通りすぐカラマツ林の針を降らせて 《選者詠》
うずたかく枡に盛りゆくシラス干し特売の日の客寄せとして 田中 秀子
落葉蹴りまぶたを閉じて肩すくめ諍いののち向かう家路よ 岡本眞理子
全身に秋の陽あつめ咲き誇る庭の主役の厚物(あつもの)かぐわし 川上 頼枝
生存の証(あかし)のように賀状くる会うこともなき半世紀経て 田代 鈴江
引き出しの亡夫(つま)の眼鏡たわむれに掛けてみたればぴたり度の合う
光田美保子
◆川柳「暁子の会」 米島暁子 選
赤ちゃんの笑顔宝箱に入れ 《選者吟》
明けたのに今なお暗い冬の朝 谷畑 顕
味わって目で楽しんで日本食 斉藤 チカ
山小屋の夜明け神々しい視界 桶谷 康子
好物もぽっこり腹に気を使い 鈴木 綾子
あの人の開けてみたいな胸のうち 中田テル子
長生きの秘訣は魚よりお肉 福家 昭恵
窓を開け朝の空気を取り込もう 寺前 綾子
ふる里の味を求めて食べ歩き 中津 和子
記念樹に特産枇杷を植えました 板橋 芳子
窓開けて一面の雪別世界 松竹 妙子
◆つれづれ句会 ― 投句 ―
孫子巣立ち寄る人もなし冬間近
かさこそと落葉踏み見る昼の月 春 水
近く来て鳴け元旦の雀たち
神近き大提灯や初詣 申
師走に思い出残し遠き旅 かもめ
図らずも夕焼け富士や石蕗(つわぶき)の花
我が思いぶれず八十路の去年今年 三 島
ふきの花黄色が満開母笑顔
落ち葉かさかさ十五センチの靴遊ぶ かすみ
投げ銭は平次を真似て初詣
獅子舞にあたま噛まれて泣かぬ子も 鳴 砂
あるがまま萎えたる姿冬薔薇(そうび)
夕仕度包丁研いで年迎ふ 波
母の忌やおはぎにお茶に野紺菊 火 山
頬に炭竃(かまど)炊きする今年米 美 公
夕紅葉静けさ寺に一句あり 善 彦
夕もみじ空の緋色に山陰り かおる
朝紅葉水面に揺らぐ絵具皿 一 憲
草の花秋の花々人歩く 孝 正
椎の実の積りにつもる山路かな 義 明
廃校の庭に柿の実たわわなる 恵美子
手を合はせ何に祈るか神の留守 ちか子
小春日や眼鏡ずらして糸通す 敬 直
群青の袴凛々しや七五三 光 子
語りたし楽になりたしくず湯かな
いつつむつななつ七草塩加減 緑
一夜(いちや)雪ページ変りてただ静か
Ｘ(クリス)マス子等の歌うはニューソング 桔 葉
際立(きわだ)ちて妖精の舞い紅もみぢ
雪囲い土壌守りて陽を集め 輝
居酒屋で夫婦で一献初詣 とにお
裸木に ねぐらなくした 鳥あまた
トビウオの 姿見たいと 里の海 眞 美
来し方を認めて安らぐ年の暮
地球儀を廻わし平和を祈る日々 卯 月
共に居て語らぬことの安らぎを知りて窓打つ雨を見ており
恋文にヘッセの詩を書きし人想いて歩む霧わく朝に 一 蝉
もしかして妻の小言は甘えかも 凡 夫
カード束財布膨らむポイント貧乏
オレだオレ免許返納してくれよ 柚子丸
災害は覚えられない数になり（忘れた頃？）
狂い咲きサクラ答弁忖度で 沖 阿
