来年から幼稚園に入る予定ですが、周りとのコミュニケーションがうまく取れず、外にも出かけたがらず、心配です。外でもお友達とは遊べなくて私のそばから離れないし、他の人と会話もできません。自閉症かな?と思ってしまうほどです。自閉症とはどのような状態のことか、また発達障害とどのように違うのか教えてください。(42歳主婦/2歳女児)
「自閉症」は現在、「自閉症スペクトラム障害」の一部分と位置づけられています。
「スペクトラム」というのは「連なり」という意味であり、
患者さんによって障害の程度に差があったり、
ある特徴が強く出るなど一つの疾患としてとららえることが難しいため、
そのようにいわれています。
「自閉症スペクトラム障害」は以前は「広汎性発達障害」といわれていました。
「自閉症スペクトラム障害」の特徴は次の3つであるといわれています。
① 社会性の障害
② 言語・コミュニケーションの障害
③ 想像性の障害(興味・関心の偏り)
■社会性の障害とは…
◎相手の感情や場の空気を自然に感じ取ることが苦手で、友達への関心が薄い。
◎年令相当の常識が身につきにくい。
■言語・コミュニケーションの障害とは…
◎会話がキャッチボールになりにくい。
◎不安・緊張でコミュニケーション能力が大きく変動する。
◎独り言、オウム返しなどの特徴が見られることがある。
◎指差し、うなずき、視線、表情など話し言葉以外の手段で会話を補うことができない。
■想像性の障害とは…
◎物事の本質や様々な可能性など、実際に見ていないことを直感的に処理して受け入れることが困難。
◎柔軟性の発達が乏しく、予想外のことで混乱し、切り替えや終了が苦手。
◎こだわり(興味・関心の著しい偏り)がみられる。
お尋ねのお子さんの場合は、ご質問の内容だけではなんとも言えません。
まだ2歳なので確実な診断は難しいと思いますが、
早期発見によりいろいろな対処法を受けることもできます。
ご心配であれば「子ども発達センター」や、
専門の先生のいるクリニックでご相談することをお勧めします。
★回答者……
小児科医師/小野元子先生
1949年生まれ。千葉大学医学部卒業。小児科医。千葉大学医学部付属病院・国保松戸市立病院・国立国府台病院(現独立行政法人国立国際医療研究センター国府台病院)・船橋市立医療センター勤務の後、1993年に小児外科医の夫と新松戸で「おのクリニック」開業。診察室での診療だけでなく学校医、保育所嘱託医などを通し地域医療に携わっている。日本小児科学会認定小児科専門医。松戸市医師会公衆衛生委員。松戸市小児科医会代表幹事。松戸市子ども子育て会議委員。