寝ているとき、歯ぎしりをしています。聞いている方が気になって眠れないほど結構大きい音なのですが…。放っておいても問題ないのでしょうか?(33歳主婦/6歳男児)
子供は大人に比べて歯ぎしりをする割合が高いといわれています。
それはお口の中が常に変化しているからです。
生まれたばかりの赤ちゃんには歯がありません。
しかし1歳頃には上下の前歯が生え揃い、
1歳半ぐらいになると奥歯も生えてきます。
今までの吸うだけの動きから、
物を噛むという複雑な動きを覚える必要があり、
それに適応した顎の位置と動き方を見つけるために、
この時期に歯ぎしりを始めるお子さんもいます。
その後、3歳ぐらいになり乳歯列が完成すると
歯ぎしりをするお子さんは少なくなります。
ところが5歳ぐらいになると、また歯ぎしりをするお子さんが増えてきます。
なぜでしょうか?
ご質問のお子さんは6歳の男の子です。
お子様の口の中を見てください。
前歯の間に隙間ができていませんか?
前歯が乳歯から永久歯に交換する時期が近づいてくる5歳ぐらいから見られる
「成長空隙」という隙間です。
顎の骨が成長し幅が大きくなることによって起きる現象です。
それに伴い噛み合わせも変化し、
それを調整するために歯ぎしりをするお子さんが増えるのです。
従って、この時期の歯ぎしりは
成長の変化に即応した正常な反応と思ってよい場合が多いのです。
このような成長にかかわる歯ぎしりは、多くの場合一過性で、
成長とともに自然になくなります。
あまり心配せず、
正常な成長発育の証だと思って見守ってあげても良いでしょう。
ただ、不安を持ちながらの子育てより、
保護者の方の笑顔がお子さんの成長を促します。
少しでも気がかりなことがある時や見守る余裕のない場合などは、
早めの受診をお勧めします。
ただし、次のような場合は注意が必要です。
・起床時に顎がだるいとか痛いなど、顎関節症状がみられる時
・歯のすり減り方が著しい時
・永久歯列完成後も長期間にわたって続く時
・虫歯の治療後に急に歯ぎしりをするようになった時
こんなときは小児歯科専門医に診てもらい、
早めに噛み合わせのチェックを受け、調整してもらいましょう。
★回答者……
1953年東京都生まれ。1979年、北海道大学歯学部卒業。
北海道大学歯学部小児歯科学講座入局。1984年、新松戸
で「小児歯科ポプラ診療室」を開業。日本小児歯科学会認
定小児歯科専門医。