息子がインフルエンザにかかってしまいました。病院でタミフルを処方され飲ませたところ、その後、眠った息子が急に起きて「怖い怖い!」と泣き叫び、私の顔をみて「寄るな寄るな!!」と逃げ回り始めたのです。こんなことは初めてです。タミフルを飲んで異常な行動がでることがあるとは聞いていましたが、そのせいでしょうか? このままタミフルを飲ませ続けて良いのか不安です。(40歳主婦/6歳男児)
インフルエンザにかかった時、
1歳以上10歳未満のお子さんは
抗インフルエンザ薬のタミフルを処方されることが多いと思います。
お尋ねのお子さんのように、インフルエンザにかかった時に訳の分からないことを言ったり、
意味のない行動をとったりすることは、時に見受けられます。
このような時は次のようなことが考えられます。
1)熱による譫妄(せんもう)状態
2)インフルエンザウィルスが原因と考えられる異常行動
3)タミフルなどの抗インフルエンザ薬が原因と考えられる異常行動
1) 熱による譫妄状態
高熱の時は夢と現実との区別がつかなくなり、
夢の中のことを現実と思い込んでしまって訳の分からないことをいったり、
意味のない行動をしたりすることがあります。
年令が低い幼児に多く見られるようです。
これはインフルエンザに限らず高熱の時は時々見られます。
2)インフルエンザが原因と考えられる異常行動
インフルエンザ脳症の前駆症状として見られることがあります。
インフルエンザ脳症はインフルエンザウィルスそのものが原因で起こる脳障害で、
けいれん・意識障害が起こり、
亡くなったり、重い後遺症を残すことが多い重篤な疾患です。
3)タミフルなどの抗インフルエンザ薬が原因と考えられる異常行動
インフルエンザにかかった時の異常行動は、
タミフルなどの薬剤の副作用と考えられていた時期がありました。
その後の調査で、異常行動を起こしたお子さんの1/3ほどは、
タミフルなどの薬剤を服用する前から異常行動が見られたということが分かってきました。
タミフルなどの薬剤の副作用で異常行動がでているかどうかは、
今のところはっきりした結論はでていません。
お尋ねのお子さんの場合はどれにあてはまるのか、
かかりつけの先生に良く診ていただき、
タミフルの服用についてよくご相談するようお勧めします。
★回答者……
小児科医師/小野元子先生
1949年生まれ。千葉大学医学部卒業。小児科医。千葉大学医学部付属病院・国保松戸市立病院・国立国府台病院(現独立行政法人国立国際医療研究センター国府台病院)・船橋市立医療センター勤務の後、1993年に小児外科医の夫と新松戸で「おのクリニック」開業。診察室での診療だけでなく学校医、保育所嘱託医などを通し地域医療に携わっている。日本小児科学会認定小児科専門医。松戸市医師会公衆衛生委員。松戸市小児科医会代表幹事。松戸市子ども子育て会議委員。