質問:6歳2カ月の男の子。前歯の乳歯の裏側から永久歯が生え始めてきました。乳歯の方は少しグラグラしています。このまま自然に抜けるまで放っておいても大丈夫でしょうか?(母/38歳)
左の写真のようなケースですね。
こんなときは早めの抜歯が必要です。
お家で抜けないときは歯医者さんに抜いてもらいましょう。
乳歯の積極的な抜歯が必要なのは次の2つのケースです。
1つは、ご質問のように永久歯が生えてきたのに自然に抜けない場合です。
乳歯は下から永久歯が生えてくると、根が先端から吸収されて短くなり、
やがて自然に抜け落ちるのが普通です。
しかし、前歯では永久歯がやや内側に傾いて生えてくることがあり、
乳歯の根の吸収がうまく進まず自然に抜けないことがあります。
そのような乳歯は早めに抜かないと、
永久歯は萌出しながら正しい歯列に誘導されにくくなります。
将来の歯並びのためにもできるだけ早く抜いてあげるのが得策です。
もう1つは、ひどい虫歯やケガで歯髄が死んで腐ってしまい、
乳歯の根のまわりに膿がたまっている場合です。
この状態を放置すると、乳歯の下で発育中の永久歯の芽まで病気になってしまうので
早く抜歯する必要があります。
また、根管治療をした乳歯も自然に抜けづらいことがあります。
根管治療済みの乳歯があるお子さんはもちろん、
永久歯への交換期のお子さんは、後継永久歯の状態を含めて
歯医者さんに定期的に診てもらい、専門的に抜歯の時期を判断してもらうとよいでしょう。
1953年東京都生まれ。1979年、北海道大学歯学部卒業。
北海道大学歯学部小児歯科学講座入局。1984年、新松戸
で「小児歯科ポプラ診療室」を開業。日本小児歯科学会認
定小児歯科専門医。