イクメンって何だろう?

厚生労働省のイクメンプロジェクトのHPによると、

「イクメンとは、子育てを楽しみ、自分自身も成長する男性のこと。

または将来そんな人生を送ろうと考えている男性のこと」と書かれている。

では僕はイクメンなのだろうか? 自分ではよく分からない。

僕は産業動物獣医師として、家畜診療所で働いている。

一方、僕の妻は2歳の娘を連れて僕の実家の家業を手伝っている。

僕は家業を放って好きな仕事をしているドラ息子なわけで、

妻に頭が上がらないのは言うまでもない。

必然的に、僕の休日は実家へ行って子守をしながら

家業のお手伝いをする、ということになる。

そして、子供の相手をしながら仕事をしている僕を見た人は、

「子育てを楽しんでいる“イクメン”!」と思うのかもしれない。

休日の子育ては、大変であるが楽しい。

正直、娘は仕事のお邪魔ばかりしているが、

「遊んで」と甘えられるのは悪い気はしない。

というか、嬉しい。

結局、子供と遊びに行く羽目になり、家業の仕事はあまりできないことが多い。

しかし妻は、子育ての負担が減ることと、

僕と娘の親子の触れ合いを喜んでくれている。

でもこれは休日のお話で、平日の僕の子育ての様子は大分異なる。

朝から仕事に出てしまい、夜の帰りも遅くなることが多い。

せめて妻の負担を減らす(ご機嫌を維持する)ため、朝晩に家事を手伝っている。

朝は洗濯機を回し、朝食を作り、夜は夕食作りを手伝い、食器を洗う。

逆に、あまり“イクメンらしい”ことは出来ず、せいぜい一緒にご飯を食べて、

お風呂に入ることぐらいであろうか。

でも、妻の負担を減らすために家事を行うことも、

子育ての一つの形だと僕は思っている。

しかし、子供の世話や相手をするのは本当に大変だと思う。

子供の小さいうちは、食べられるものを特別に用意し、

それを食べさせるのもひと苦労だ。

オムツも頻繁に替えてあげなくてはならない。

さらに、機嫌が良いときは「遊んで、遊んで」としつこいし、

逆に機嫌の悪いときはジタバタと泣きわめき、

まるで悪魔のようだ。

きっと、それらが嫌で子育てから遠ざかる男性諸君も多いのではないだろうか。

どうでも良いアドバイスかもしれないが、

僕は自分が「子育てにイライラしているな」と感じたとき

「うちの子供は動物だ!」と思うようにしている。

犬猫や家畜の世話をしていると思えば、

何をされても腹は立たない。

毎回ご飯を作り、口に運んでやるのも、子牛にミルクをやるのと同じだし、

うんちやおしっこを垂れ流すのも動物なら当たり前の現象だ。

子犬はじゃれてくるし、怖かったら鳴きわめく。動物なら当たり前だ。

動物を飼ったことのある方ならご理解いただけるのではないだろうか。

と、ここまで気ままに子育てに思うことを書いてみたが、

「子供は動物である」と書いてしまうあたりを見ると、

僕が本当に”イクメン”なのかどうか…。

やはり相当に疑わしいであろう。

(2014年6月)