■「関さんの森」について……

関さん森850「関さんの森」は松戸市幸谷にある2.1haの里山で、江戸時代に名主を務めていた関家に代々引き継がれてきた森です。
ところが、東京に隣接している松戸市では戦後の高度成長期とともに急激な開発が進み、同時に森や水田、畑が次々と姿を消していきました。たとえ、地主の人たちが先祖から受け継いできた土地を守りたいと考えていても、世代が代わり相続税の問題が発生すると、手放さざるを得ないというケースも多々ありました。
関家を継ぐ関さん姉妹も同じ問題にぶつかりました。そのとき、屋敷林を大切にしていたご両親の思いをもとに、森をなんとかそのまま残す方法はないかと模索しました。そして、昔から「こどもの森」として親しまれていた森を、特定公益増進法人である財団法人埼玉県生態系保護協会に寄付をするという方法にたどりつきました。
こうして、1996年、約1.1ヘクタールの屋敷林は財団に寄付され、関さん姉妹の名字から「関さんの森」と名付けられました。特定公益増進法人となった森は、寄付した相続財産分は課税対象から除外され、自然のままの状態で永遠に残ることになったのです。
「千葉県の森を、なぜ埼玉県に?」と思う方もいらっしゃるかと思います。理由は、千葉県や松戸市には、森をそのまま残す条件で寄付を受けてくれる法人がなかったからです。地主は埼玉県の団体であっても、森はこれまで通り市民のために開放されています。

■「関さんの森を育む会」について……

「関さんの森を育む会」は、1996年に地元の有志によって結成されました。きっかけは、「関さんの森」を特定公益増進法人に寄付したとき、地元に森の保全・管理や利用を担う団体が必要となったからです。以来、活動範囲を梅林や屋敷内に広げ、さまざまな活動を行っています。
毎月第1、第3日曜には、ガイドが屋敷内を案内。定例作業は、毎月1回、第3日曜の午前中に行っています。たとえば2014年6月の森の作業は、遊水池の清掃と遊歩道の草刈りでした。体験学習で参加している千葉大園芸学部の学生2名も胴長を履いて池に入り、池の中の枯れ枝やごみなどを取り出してきれいにしました。

■「森の会議室」について……

会議室850関さんの森の中心である関家の屋敷は、サクラやカヤ、ケヤキ、アカガシなど100年以上の古木に囲まれています。「森の会議室」は、そんな庭の一角にあります。会員が手づくりしたテーブルとベンチが置かれ、会の運営について話し合いをしたり、企画した催しの会場となったり、森を訪れるグループに森の説明をする場所になったりします。ここには、雨や雪さえ降らなければ様々な人が集まってきます。森の会議室には、どんな人が訪れてきて、どんなことが話し合われているのでしょう? 会議室の様子を、これから少しずつご紹介していこうと思います。