■俳諧「奴凧」
小雨降る吾妻小富士に秋の虹 佐藤 春生
身にあまる米寿の祝い敬老日 吉沢緋砂子
豊作の生命を愛でてつまみ食い 川上 壮介
葛の花甘きにおいのただよいて 勝 太郎
四方八方想い出の種ほうせん花 小林 今浬
豊の秋土間に農具の昔あり 松山 我風
■短歌「合歓の会」 久々湊盈子 選
「ジャズ特選」カラヤンに替え秋の朝ひと日の旅のアクセルを踏む 《選者詠》
炎暑ゆえ外出するなと子に言われ「ウゴカザウルス」となりたり我は 木村 博子
公園のブランコ揺らし木々ゆらし風がひとりで遊ぶ夕暮れ 田中 幹雄
一日の終わりはカミツレハーブの湯こころもからだも緑に染まり 天野 克子
ビタミン剤飲みて気張らん来月は北海道へ行かねばならぬ 荘司 幹子
しゃべるなと脳なずきは言えど箍たがはずし人の噂をしゃべるは楽し 羽毛田さえ子
■川柳「暁子の会」 米島暁子 選
ユニクロを着て蝶になり花になる 《選者吟》
さわやかな朝は案山子も深呼吸 血矢 行男
百均の帽子七年被ってる 板橋 芳子
いい目覚め何かいい事ある予感 中山 秋安
たまにはと肩を並べて夕ご飯 寺澤 秀典
おはようの声が飛び交う通学路 花島 和則
タラ・レバの思いにふける暇が出来 鈴木 綾子
五十年紆余曲折の鶴と亀 髙橋 和男
夏休み麦わら帽子花ざかり 花嶋 純代
健康と家族と友が宝物 木間 弘子

■つれづれ句会 ― 投句 ―
髪を切る十月の空軽やかに 住 子
柿の実のとんと落ちるや黙の夜 裕 子
朝焼の掻き分け行くよ花野かな 節 子
訃の葉書を棒読みの夫曼珠沙華 かほる
天高し先の先まで青信号 幸 枝
よろこびの新米といふご飯かな 晴 美
振り向けば友の笑顔よ秋桜 れい子
秋夜長歳時記眺め時逝かす 美智子
ゆれにゆれ群生ススキたぐいなき
虫の音につつまるポストたよりまつ 輝
AIに礼は言うのに妻に無し
妹の形見のリュックで秋の奈良 す ず
秋の風ほっぺそっと撫でていく
秋分ややっと季節が巡りくる はる江(長野県)
風を待つレースのカーテン遠き雷
マンションの棟の白さや野分雲 旦 暮
小さな秋日本の友より水羊羹
メヒコでもカラスはカアカア雀はチュン 雅 夫(メキシコ)
秋刀魚焼きお団子飾り空みあげ かもめ
除染土を花壇へ登用夏の雲 火 山
妻の肩借りて一息秋茜 美 公
夕陽背に新米荷駄の軽やかに 敬 直
新米を磨ぐ妻の背も楽し気に 紀 行
畦道の天をも食ふ曼珠沙華 荘 子
つかの間の秋の空気を抱きしめる 藍
神棚にまずお供えや今年米 光 子
病床や透ける青空初秋かな かおる
久々に雨降る音や木の実落つ 義 明
今年米人情機微に世知辛さ 彦いち
風の道炎の山門彼岸花 恵美子
温暖も今宵名月清々し
秋遠し目にも風にも兆し無し 佐藤 隆平
夏草を刈れば堤にひょっこりと馴染みの小径が手招きしてる
お日様をたっぷり含んだ枯草にまろぶ仔ねこと見守る母ねこ 風知草
故郷の友より届きし初物の幸水二個はまず仏壇へ
南海で生まれた風がけやき路を台風となり吹き抜けていく 一 蝉
リンチチチ誰何良い音秋の宵 しげみ
百年の踏切番やいぼ弁天
天をつく銀杏見守る弁天堂 莉
何か変長寿社会が目出度くない
民の声聞こえませんか自民さん 沖 阿
■莢さやの会 – 投稿 –
愛 永田 遠
愛より立派な文化はない
たとえどんなに貧しくとも
愛ある人は
とても立派な文化人
どんなに教養があり
芸術に囲まれ
財産があっても
愛がなければ
野蛮人なのではないだろうか
愛があれば
道端の花にも感動する
そんなふうに
人を愛することができたなら
どんなにすばらしいことだろう、と
思いつつ
自分の靴の
つま先ばかりを見て歩く
ふさこがね・ふさこがね 東 恵子
若者よ 大切なお米についての あれこれを
遺言するね
政府放出の備蓄米は 金輪際 買わないこと
二合に13つぶ 13つぶも黒点米がまざっていた
ひどいね
千葉県産ふさこがね 精米時期’25年8月下旬
新米のラベルが輝かしく添付され
キャッチコピーそのままに
千葉の温暖な気候と豊かな自然に育まれた
色白で粒が大きく粘りがあって
ふっくら艶やかに炊きあがったのだ
おいしかった 感激した
若者よ 忘れないで スイッチオンの前に
夏場30分以上 冬場1時間 待つこと
「オレ 米については拘こだわり薄いけど」
母が生きている間は母の仕事だ
政府放出の備蓄米など金輪際買わないで!
ふさこがね ふさこがね 具だくさんの味噌汁
鯵の干物 ほうれん草の塩コショウ炒め
きゅうりの糠漬け……用意して
【訂正とお詫び】
10月号の俳句で、荘子さんの句に間違いがありました。
正しくは「天を指す平和の像に虹たちぬ」です。
訂正してお詫びします。