どうしたわけか……

今年のゴールデンウィークには、昔の友人が次々と遊びにやってきた。

なにが起きたのだろう、と思っていたら、

私が東京に戻り、一人暮らしを始めていることが広まったせいらしい。

それで、急に「じゃあ、またみんなで人形劇ができるじゃん!」

との気分になったらしい。

えっ! 人形劇? なに、それ? と言われそうだけれど……

じつは私、かつてはプロの人形劇団の一員で、

テレビの人形劇番組や舞台公演などの台本を書いたりしていたのだ。

昔、「ひょっこりひょうたん島」という人形劇のテレビ番組が有名だったけれど、

それをやっていた劇団に所属していたこともある。

その関係で出会った人形劇仲間もいろいろといて、

時にチームを組んで活動したりもしてきた。

思い起こせば、大胆にも、南フランスのシャルルビル・メジエールという町で

開かれていた世界人形劇フェスティバルに参加したりもしたなあ、と思う。

その時は、みんなで舞台装置を背負って、飛行機に乗ったりした。

東日本大震災の後、キャラバンを組んで、

被災地の子どもたちに人形劇を観せてまわったことも。

若かったとはいえ、その大胆さと行動力に、われながら眩暈がする。

そして、その当時のメンバーはいまやみんなシニア世代になった。

目下、いろんな意味で、それぞれの人生にひと区切りのついた状況にある。

いまだに名前を聞くだけで、「おお、同士よ!」と思う私だ。

そんなわけで、東京に戻って以来、当時の仲間たちとなにかと付き合っている。

でも、付き合うのは楽しいが、私としては、

自分の人生を過去に向かって巻き戻す気にはなれない。

物書きとしての今を、どう見つめて生きていくかが、私の晩年の課題だと思っている。

それにしても、である。

ここまで年を重ねてきて、「晩年の課題」にどう向き合うか、

なんてことを自分が考えるようになるとは、思いもしていなかった。

「もう、気楽に暮らせば、それでいいじゃん」

と思えればいいのに、いつのまにか、

老いと共にめんどうくさい人に私はなってきている気がする。

人生はなかなか思うようにはならないものなのだ、と思う。