満点落ちこぼれ現象とは?
教育は、子供への最高の贈り物です。子供が小さい頃から、子供の勉強に力を入れるお父さんお母さ
んは多いと思います。小学校入学前から読み書きや計算を教え、入学後も家庭学習、そろばん、学習
教室通い。学校の宿題も一生懸命に取り組み、テストでも100点ばかり。成績優秀で順調な滑り出し
をする子供は少なくありません。
ところが、低学年のころはテストで満点ばかりだった子が、とくに原因があるとも思えないのに、次
第に落ちこぼれていく現象がみられます。「満点落ちこぼれ現象」と言われるものです。いや、原因
があるとは思えないと書きましたが、落ちこぼれるのにはやはり理由があります。学力がしっかりと
育っている子が、高学年で急に落ちこぼれるはずがありません。正確に言えば「低学年で満点ばかり
でも、本当の学力が育っていない子が多い」ということです。
じっさいに、私が主宰する学習教室にやってくる子供たちの8割以上、高学年に限れば9割以上の子供たちは、学校の成績はよいのに、「自分で考える力」が育っていません。
具体的な例を挙げてみましょう——
問題:きよはる君は、ひろあき兄ちゃんが泣くとつられて泣いてしまいます。ひろあき兄ちゃんが1回え~んと泣くと、きよはる君は3回え~んと泣きます。まひろ兄ちゃんが隣の部屋で聞いていたら、12回え~んと泣く声がしました。きよはる君は何回泣いたでしょうか?
これは、私の次男が幼稚園の年長のときに、ヒントなしで解いた問題です。ところが、教室へ体験に来る小学2~3年生の子供たちの8割以上は解けません。
これは小学3年生の答え。学校で掛け算の問題を徹底反復させられていた時期です。
これも小学3年生の答。数字しか目に入っていません。
これも小学3年生の答え。ドリル学習を大量にさせられており、式に単位までつけるよう厳しく指導されていますが、内容は読み取れていません。
これは小学2年生の答え。学校の成績は抜群の子ですが、内容を読み取れていません。
学校の成績が良い子でも、学校で習っていない問題には歯が立たないのです。子供たちにいま何が起
きているのでしょう? 次回から具体的に紹介していきたいと思います。
■金森 明/1972年東京都生まれ。外食企業とIT企業で、
人事(採用・教育・企画)職、人事管理職に12年間携わ
る。そこで大勢の新入社員と接した経験から、わが子を
マニュアル人間にしたくないとの思いがつのり退職。学
習塾を開く。現在、新松戸と湖北(我孫子市)で「地頭
を鍛える学習教室」を運営。