じたばたすることになりそうな予感がする

衝動的に那須に引っ越して来て二度目のお正月を迎える。

昨日来たような気分なのに、もう、そんなにも……と、

あれこれ思い返していたら、しみじみしてしまった。

思えば、いきなり移住する、と告げた時、息子から吐き捨てるように言われたのだった。

「お母さんて、フーテンの寅さんみたいな人なんだよねえ」と。

そう言われて、

「寅さんは、ふらふらした後、家に戻るけれど、お母さんは戻らない」

なんて言ったりしたけれど、

確かに、私の人生を振り返ると、

なにかに行き詰まるといきなり、エイッと飛んだりする。

目の前の壁を努力して超えようとするのではなく、

飛んで、着地した地点からまた新しく始めるのだ。

そのうちに、なんでいきなり飛んじゃったかなあ、なんて思い始める。

で、また、飛ぶ。

ということをくりかえしてきた……。

などと、二年前の自分の、あの「エイッ」は、なんだったのかなあ、とつい考えてしまったのだ。

ともあれ、ここ二年で急に老いの実感が増してきたみたい。

もう、いきなり「飛ぶ」自信もなくなったみたい。

ちなみに、捨て台詞を吐いた息子の方はと言えば、

家族で遊びにきてみたら、那須には温泉はあるし、

子どもたちは放たれた子犬のように走り回るし、食べるものは美味しいし。

しかも、私の部屋にみんなで泊まり、ホテル代わりにすると格安な家族旅行ができる!

ということにも気が付いてしまったらしい。

そんなわけで、今や機嫌よく「お母さんはいい選択をした」なんて言っている。

これからは、こういう高齢者住宅が流行って、

なにかと風光明媚な温泉地などに高齢者住宅が林立するかもしれないなあ、などと思う。

「家族が遊びに行きたくなる老人ホーム!」というのも、

今後のコンセプトになるなあ、なんて。

そんなわけで、まわりから「飽きっぽいから、那須暮らしも持って二年じゃないの?」

と言われてきた私だけれど、年の瀬にひとりしみじみしていたら、気が付いた。

私がいきなり「飛んで」きてしまったここは、

実は、可能性はあるけれど、老いて暮らすにはまだまだ未完の場所だったらしい、と。

とりあえず、こういうところを作ったからさ、あとは、ここにうっかり飛んで来ちゃ

った人たちみんなでなんとかすれば~、と丸投げされているようなところなのだ。

ま、だからこそ、面白いのだろうと思う。

本当は、しみじみしている暇はないのだ。

自分たちの限りある生の終盤に向けて、もっとじたばたしたほうがいいのだと思う。

そんなわけで、新しい年もまた、じたばたすることになりそうな予感がする。