最近、お嫁さんの愚痴を言う人がいないなあ、と思う。

以前、介護付きの有料ホームで取材をした時など、延々と愚痴を聞かされたり、

泣かれたりまでしたこともあったのだけれど。

そして必ず、最後に聞かれたのだ。

「あなた、お子さんは?」

「はい、息子が一人」

「まあ、大変。息子は、みんな妻の言うなりになりますから、

あなた、心しておかれたほうがいいわよ」と。

彼女たちが言うには、夫が亡くなって一人になったら、

「そろそろどこかに入ってもらって」と嫁に促された息子に、

「とうとう入居させられちゃったのよ」と嘆く人が多かったのだ。

有料ホームに入居できる方は、そこそこゆとりのある方たち。

息子の結婚を機に、家を二世帯住宅にして住まわせた結果がこれよ、ということだったらしい。

たぶん、背後に長年確執を続けてきた嫁姑問題があったのだろうと想像された。

ただ、その頃、この私は、なにを言われてもピンとはこなかった。

なにしろ戦後の核家族の転勤族育ちで、祖父母と同居した経験はなし。

しかも、こういったテーマの取材をしていたのは、女性誌ライターだった30年も前。

こういう事情も時代と共にどんどん変化してきている。

先日は、同じような介護付きホームでこんな話を聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

80代のまだ元気そうな方だったが、彼女は、嫁に促された息子ではなく、

いきなり家族と共に実家に引っ越してきた娘から言われたそうなのだ。

「今は、ある年齢になったら、老人ホームに行くのが常識の時代なのよ、お母さん」と。

「それで腹いせで入居しちゃった」とか。

でも、最初はプンプンしていたけれど、ホームは個室で気兼ねもなく、食事も美味しい、

周りのヘルパーさんからは優しくされるし、これはこれでいい選択だったかも、

と思うようになったとか。

一方、同世代の知人は言う。

「同居している母に言ってあるのよ。悪いけれど、ウチはお金がないから、

お母さんを有料ホームには入れてあげられないからね、ごめんねえ」って。

ほんとに、まあ、いろいろ多様な時代よねえ、という感じだ。

ともあれ、戦後の核家族の担い手となった団塊世代が、すでに舅姑世代。

未婚の子どもが家に残ったままという人はいても、

結婚した子どもとあえて同居をしたいという人も少なくなった。

しかも、日本の家族は、最近、母系化している。

今や息子夫婦とではなく、娘夫婦との同居を選ぶ事例が多い。

これはこれで、娘は親に遠慮がないのでなかなか大変であるらしく、

お嫁さんについての愚痴より実の娘に関する愚痴を聞くことが多くなった。

そんなわけで、嫁姑問題は、すでに去り行くテーマよねえ、と主張したら、

一回りも下の世代の知人から「いえ、そんなことはありませんっ。

ネットで、今なお、なにかと盛り上がる永遠のテーマです」と言い返された。

言われて、おそるおそるネットを覗いてみたら、ほんとにすごかった。

同居していなくても、姑のくれたプレゼントが非常識だとか、

義実家(と今は言うらしい)で、ご飯は食べたくないとか、長く滞在したくないとか。

もう、いろいろ。

読んだら、なんだか怖くなってしまった。

やっぱり、年を重ねるほどにいよいよ自立して、一人で生きる力と勇気を持たなくては、と思う。